舞歌、悪鬼羅刹変化する
文字数 607文字
問題は、そこから始まった。
次の日から、舞歌は人が変わったように、僕につらく当たるようになったのだ。
それまでは何をやっても全部OKだったのが、舞歌は一言一言、足の一歩一歩から指の上げ下ろしに至るまで、演出とタッグを組んで僕をこき下ろすようになった。
さすがに耐え切れなくなって、僕は稽古中にへたりこんだ。
こういうときは演出が手を叩いて劇の進行を止めるものらしいのだが、そこで舞台袖から駆けこんできたのは、出番を待っていた舞歌だった。
僕を見下ろすその顔は、まるで鬼か悪魔のようだった。完全に嫌われたのを覚悟した僕は、全てを諦めてその場に寝転がった。