寒さの夏と生命の歌
文字数 410文字
はっと目が覚めた時、その指先が僕の喉元に触れた。
正直言うと、部活で火照った身体には気持ちよかった。怖いような、続けて欲しいような、不思議な気分だった。すうっと眠くなって、身体も軽く宙に浮いた感じだった。
あの声が聞こえるまでは。
盲いるなかれ、眼を開け
汝が心に火を灯さん
汝が身体に炎(ほむら)立たせん
いや、実際に何かが、僕の身体の中から這い出している。
文字数 410文字
正直言うと、部活で火照った身体には気持ちよかった。怖いような、続けて欲しいような、不思議な気分だった。すうっと眠くなって、身体も軽く宙に浮いた感じだった。
あの声が聞こえるまでは。
三坂朔(みさか さく)
ヤル気なしの高校1年生。
帰宅部だったのに、演劇部員の地区大会代役として舞台に引っ張り出されて、汗みどろのシゴキに耐える日々を送っている。
サボリ癖が強い上にムッツリスケベといいところなしだが、苦境にある者を見ると、放ってはおけない。
幼馴染への恋には最近気づいたが、間に合わなかった。
徳永舞歌(とくなが まいか)
劇作に夢中の高1女子。
役者修行に加えて戯曲執筆もこなす、やる気満々の才女。
そのせいで朔の気持ちには気付かず(というか、もともと眼中にない)、勉強に恋にと高校生活を満喫している。
普段は無邪気な天然少女だが、稽古の間は悪鬼羅刹と化す。
風間涼美(かざま すずみ)
才色兼備の高3女子。
蠱惑的な肢体を持ちながら、部活でも学校でも目立たないのは、(文字通り)次元の違う世界で生きているからである。
即興の4行詩を吟ずることで、人間の肉体を乗っ取ろうとする異界の魔物を祓うことができる。
実はお茶目で、年下の男性をからかうのが大好きだったりする。
シャドウ
文字通りの「影」だが、熱い心と深い洞察力を秘めている。
ふだんは学生服を着て、風間涼美と行動を共にしている。
異界の魔物と接触すると、涼美の詠唱する詩の持つパワーを実体化して闘う。