そして本番前日の夜へ
文字数 409文字
その日からというもの、僕は部活に出るだけで、舞台に出るのはシャドウに任せ続けたのだった。
シャドウが僕のミスをカバーしに前に出ると、僕はシャドウのふりをして後ろで台詞と動作を真似し続けた。
とうとう涼美先輩も気が付かなかったみたいで、ようやく呼び出されても、そのことは責められなかった。
窓から差し込む月の光を全身に浴びて、涼美先輩はしなやかな腕で身体を抱えて震え出した。
あの、青白いコートの男だ。身体にぞくっと入り込んできた冷たい手の感触は、まだどこかに残っている。