先輩はどこに行った?

文字数 423文字

上演校さん、装置撤去お願いします!
ありがとうございました!
え……と。

 幕が下りると、舞台装置の撤去と次の上演の準備で、辺りはごった返す。上演が終わったのは分かってたけど、だからどうしようという気にもなれなかった。

 ボケっと突っ立ってると、舞歌が例の鬼の顔で睨みつけた。

挨拶は基本!
 ばあんと背中を叩かれて、その勢いで生徒スタッフたちに頭を下げる。
ありがとうございました……。
袖幕アップしま~す!
ちょっと……待ってください!
 舞台袖に駆け込んだ僕は涼美先輩を探したけど、もうどこにもいなかった。
(……異世界に滑り込んだだけだよね)
 どこかにいるはずの先輩に心の中で呼びかけると、後ろから叱り飛ばされた。
ゴミ拾って、そこ!
 慌てて足下の紙切れを拾って、ハッとした。
(……涼美先輩?)
 振り向くと、そこにいたのは色っぽい年上の女生徒じゃなかった。
やったね!
 舞歌が背中を叩く。
 それはそれで嬉しかったけど、その後ろに立っているヤツを見たら気分が萎えた。
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登場人物紹介

三坂朔(みさか さく)

 ヤル気なしの高校1年生。

 帰宅部だったのに、演劇部員の地区大会代役として舞台に引っ張り出されて、汗みどろのシゴキに耐える日々を送っている。

 サボリ癖が強い上にムッツリスケベといいところなしだが、苦境にある者を見ると、放ってはおけない。

 幼馴染への恋には最近気づいたが、間に合わなかった。

徳永舞歌(とくなが まいか)

 劇作に夢中の高1女子。 

 役者修行に加えて戯曲執筆もこなす、やる気満々の才女。

 そのせいで朔の気持ちには気付かず(というか、もともと眼中にない)、勉強に恋にと高校生活を満喫している。

 普段は無邪気な天然少女だが、稽古の間は悪鬼羅刹と化す。

 

 

風間涼美(かざま すずみ)

 才色兼備の高3女子。

 蠱惑的な肢体を持ちながら、部活でも学校でも目立たないのは、(文字通り)次元の違う世界で生きているからである。

 即興の4行詩を吟ずることで、人間の肉体を乗っ取ろうとする異界の魔物を祓うことができる。

 実はお茶目で、年下の男性をからかうのが大好きだったりする。

シャドウ

 文字通りの「影」だが、熱い心と深い洞察力を秘めている。

 ふだんは学生服を着て、風間涼美と行動を共にしている。

 異界の魔物と接触すると、涼美の詠唱する詩の持つパワーを実体化して闘う。

都筑幸威(つづき ゆきたけ)

頭良し、ルックスよし、人望アリの完璧高2男子。

演劇部でも役者として、大会上演作品の中心となっている。

現在、徳永舞歌との交際も順調。


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