先輩の弱音
文字数 406文字
初めて聞く弱音だった。
僕たちとは違う次元の人がどうやってここで暮らしているのかはよく分からない。でも、こんな一言を聞いたからには、話だけでも合わせなくちゃいけない。
僕のためというより、涼美先輩のために。
そうは言っても、いざというとき、僕に何ができるわけでもない。さっきは偶然、相手を撃退できたけど、毎度毎度そんなにうまくはいかないだろう。
もちろん、涼美先輩はそんなことなど考えてもいないだろうけど。
満面の笑顔でお礼を言われても困る。応えられない。
そんな自分の無力が情けなかったが、必要とされているのは、もともと望んでも手には入らないものだ。