でも、僕は部員じゃない
文字数 609文字
ああ言えばこう言う。昔っからそうだ。この性格はどうにもならない。
それならいっそ、女の子だからって遠慮せず、言いたいことは言ってしまった方がいい。
中学校までのつきあいで、僕はその辺をよく心得ていた。
言いたいことだけさらりと言って、舞歌はさっさと、涼美先輩が消えたのと同じ廊下の闇の中へと歩いていく。
だが、その姿が消えることはなかった。ふと立ち止まって、意味深に振り向く。
僕が何か言う前に、舞歌はさっさと、布団を置いた教室のある隣の校舎へと行ってしまった。
一言余計だが、これでも気を遣ってくれている。
それに、よく考えてみれば実のところ、明日の太陽が拝めなくても誰も困らないのだった。
この数日の稽古で舞台に立っていたのは、涼美先輩の「シャドウ」だったのだから。