そしてもうすぐ、幕は下りる
文字数 474文字
でも、シャドウのほうがいつも一枚上手だった。
僕よりも遥かに速く、学者が立つべき場所で目の前に回り込んでしまうのだった。
台本でいったら、あと数ページしかない。
舞歌の演じる令嬢が、2人を結び付けた思い出のUSBメモリを首から外して高々と掲げた。
そこで令嬢が舞台中央に立つと、照明担当言うところの「第1バトンのサスペンションライト、センター」だけが当たるはずだった。そこで学者が彼女の手をとれば、締めのセリフで幕が降りることになっている。