お言葉ですがセンパイ
文字数 423文字
シャドウは昼食時間が終わると、決められた時間通りにやってきて、滞りなく演技をこなした。
演劇のことはよく分からないけど、演出は手を叩かなかったし、舞歌が一生懸命考えたらしいギャグシーンには、誰にも声を聞かれないで笑い転げることができた。
ただ1人、涼美先輩だけが僕に気付いて、ステージ横の暗がりから叫んだ。
ホウキやモップやバケツを持っているところをみると、することがなくて雑用を進んでやっているらしい。演劇部で目立たないのは、そのせいかもしれなかった。
叱られる前にあぐらをかいて、ちょっと開き直り気味に言い訳した。手にしたものをその場に置いて、涼美先輩は僕の隣に慌てて駆け寄ってきた。