幼馴染の身勝手なムチャ振り

文字数 407文字

 そんなわけで、夏休み前。

 やっと終礼と同時に帰れるようになったのに、部活やってる舞歌と顔をまた合わせる羽目になったのは、今年最大の不幸だったと言わざるを得ない。

 しかし、だ。

(あれ……そういえば)
 気になったことがひとつあった。終礼が終わると舞歌のそばにいつもいる都筑の姿がないのだ。たまたまってこともあるけど、それはそれで気が楽だった。
(妙なプレッシャー感じるんだよな、あいつがいると)
 でも、その幸せは舞歌の一言で打ち砕かれた。
部活入って。
はい?
演劇部に。
 何が何やらさっぱり分からなかった。声をかけられたのは嬉しかったけど、都筑と顔を合わせるのはつらかった。だいたい、帰宅部生活にすっかり慣れてしまった身体で、暑い夏の日を生き抜けるとはとても思えなかった。
(でも……断られるなんてことは考えてないよな、たぶん)
 舞歌は薄い胸の前で手を組んで、じっと見つめてくる。
ずっととは言わないから、夏休みまででいいの!
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登場人物紹介

三坂朔(みさか さく)

 ヤル気なしの高校1年生。

 帰宅部だったのに、演劇部員の地区大会代役として舞台に引っ張り出されて、汗みどろのシゴキに耐える日々を送っている。

 サボリ癖が強い上にムッツリスケベといいところなしだが、苦境にある者を見ると、放ってはおけない。

 幼馴染への恋には最近気づいたが、間に合わなかった。

徳永舞歌(とくなが まいか)

 劇作に夢中の高1女子。 

 役者修行に加えて戯曲執筆もこなす、やる気満々の才女。

 そのせいで朔の気持ちには気付かず(というか、もともと眼中にない)、勉強に恋にと高校生活を満喫している。

 普段は無邪気な天然少女だが、稽古の間は悪鬼羅刹と化す。

 

 

風間涼美(かざま すずみ)

 才色兼備の高3女子。

 蠱惑的な肢体を持ちながら、部活でも学校でも目立たないのは、(文字通り)次元の違う世界で生きているからである。

 即興の4行詩を吟ずることで、人間の肉体を乗っ取ろうとする異界の魔物を祓うことができる。

 実はお茶目で、年下の男性をからかうのが大好きだったりする。

シャドウ

 文字通りの「影」だが、熱い心と深い洞察力を秘めている。

 ふだんは学生服を着て、風間涼美と行動を共にしている。

 異界の魔物と接触すると、涼美の詠唱する詩の持つパワーを実体化して闘う。

都筑幸威(つづき ゆきたけ)

頭良し、ルックスよし、人望アリの完璧高2男子。

演劇部でも役者として、大会上演作品の中心となっている。

現在、徳永舞歌との交際も順調。


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