先輩と2人でシャワールーム

文字数 437文字

あ……痛い……痛いったら、そんなとこ!
まだ……ダメです! もっと!

 人が聞いたら誤解しそうな会話だったけど、ここにいるのは僕と涼美先輩だけだ。気にすることもないし、気にしている余裕もない。

 ちょっとでも早く、逃げ込まなければならなかった。

あ、ここ、ダメ!
大丈夫! 誰もいません! 

 逃げる場所をあちこち探していたら、すぐ眼の前に半開きのドアがあったのだ。とりあえず、涼美先輩の手を引いて駆け込んだ。

 意外にも、恥ずかしそうな声が聞こえる。

だって……。
あ、シャワールームだ、ここ……。

 入ってから、気が付いた。

 校内には、合宿用の風呂もある。そういえば、今夜は男子が風呂に入って、女子はシャワールームを使ったのだ。

 でも、どっちがどっち専用ということもないし、泊まるのは今夜だけのことなので、隠れるのに気にすることもない。

待って、そんなことしたって……。
やらないよりマシです!
 ドアを閉めて、息を殺す。どこかから入ってくる連中には意味がないけど、気休めに内側からカギをかけた。
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登場人物紹介

三坂朔(みさか さく)

 ヤル気なしの高校1年生。

 帰宅部だったのに、演劇部員の地区大会代役として舞台に引っ張り出されて、汗みどろのシゴキに耐える日々を送っている。

 サボリ癖が強い上にムッツリスケベといいところなしだが、苦境にある者を見ると、放ってはおけない。

 幼馴染への恋には最近気づいたが、間に合わなかった。

徳永舞歌(とくなが まいか)

 劇作に夢中の高1女子。 

 役者修行に加えて戯曲執筆もこなす、やる気満々の才女。

 そのせいで朔の気持ちには気付かず(というか、もともと眼中にない)、勉強に恋にと高校生活を満喫している。

 普段は無邪気な天然少女だが、稽古の間は悪鬼羅刹と化す。

 

 

風間涼美(かざま すずみ)

 才色兼備の高3女子。

 蠱惑的な肢体を持ちながら、部活でも学校でも目立たないのは、(文字通り)次元の違う世界で生きているからである。

 即興の4行詩を吟ずることで、人間の肉体を乗っ取ろうとする異界の魔物を祓うことができる。

 実はお茶目で、年下の男性をからかうのが大好きだったりする。

シャドウ

 文字通りの「影」だが、熱い心と深い洞察力を秘めている。

 ふだんは学生服を着て、風間涼美と行動を共にしている。

 異界の魔物と接触すると、涼美の詠唱する詩の持つパワーを実体化して闘う。

都筑幸威(つづき ゆきたけ)

頭良し、ルックスよし、人望アリの完璧高2男子。

演劇部でも役者として、大会上演作品の中心となっている。

現在、徳永舞歌との交際も順調。


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