マジメにやっても仕方ない
文字数 430文字
頭の悪い僕にも、それで分かった。今、僕はシャドウと入れ替わっているのだ。ちょうど、舞歌が書いた台本のように。そして、アンデルセンが童話で書いたように。
何も僕が、暑い思いをして難しいことをする必要はない。むしろ、シャドウに任せておいた方が全て丸く収まるのだ。
舞歌を満足させる演技なんかできはしない。求められてるのが都築の代わりと県大会出場だったら、僕が出しゃばることもないだろう。
そんなわけで、僕はその日の午後いっぱい、何もしなかった。誰にも気にされないのをいいことに、ステージの端で高見の見物を決め込んでいたのだった。