影法師との衝突

文字数 462文字

では、そのままお待ちください。すぐに終わります。
どうぞ。お任せいたしますわ。あまり時間がかかっても困りますけど。
 ところが、いい格好してノートパソコンを開き、パスワードの解読を始めた影法師はエラーを出しまくる。
ああ、そこ、だから言ったのに。
すみません、あの。
はて、これは……。
どうかなさいました?
だから、そこの計算式は……。
少し、お静かに。
ここを、こうして……ええい、違うか。
あの、無理は申しませんので……。
いえ、全然、無理ってわけでも。
あなたにお願いしているわけではありません。
じゃあお前がやってみせろよ!
あの……私が、ですか?
 そこで、一切のゴタゴタは横からツッコミ入れる学者のせいにされる。
ちょっと、お人払いを。見苦しいことになりますので。
令嬢はふうわりと立ち上がると、去り際に言い残した。
あなたがお優しい方だと信じています。
 やがて、学者によるUSBパスワードの謎解きが始まる。
つまり、君の間違いはだね。
あ・な・た・の。
 影法師のこだわりに、学者は逆らわない。
あ・な・たの、誤りは、まず、こ・こ・に、ありました。
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登場人物紹介

三坂朔(みさか さく)

 ヤル気なしの高校1年生。

 帰宅部だったのに、演劇部員の地区大会代役として舞台に引っ張り出されて、汗みどろのシゴキに耐える日々を送っている。

 サボリ癖が強い上にムッツリスケベといいところなしだが、苦境にある者を見ると、放ってはおけない。

 幼馴染への恋には最近気づいたが、間に合わなかった。

徳永舞歌(とくなが まいか)

 劇作に夢中の高1女子。 

 役者修行に加えて戯曲執筆もこなす、やる気満々の才女。

 そのせいで朔の気持ちには気付かず(というか、もともと眼中にない)、勉強に恋にと高校生活を満喫している。

 普段は無邪気な天然少女だが、稽古の間は悪鬼羅刹と化す。

 

 

風間涼美(かざま すずみ)

 才色兼備の高3女子。

 蠱惑的な肢体を持ちながら、部活でも学校でも目立たないのは、(文字通り)次元の違う世界で生きているからである。

 即興の4行詩を吟ずることで、人間の肉体を乗っ取ろうとする異界の魔物を祓うことができる。

 実はお茶目で、年下の男性をからかうのが大好きだったりする。

シャドウ

 文字通りの「影」だが、熱い心と深い洞察力を秘めている。

 ふだんは学生服を着て、風間涼美と行動を共にしている。

 異界の魔物と接触すると、涼美の詠唱する詩の持つパワーを実体化して闘う。

都筑幸威(つづき ゆきたけ)

頭良し、ルックスよし、人望アリの完璧高2男子。

演劇部でも役者として、大会上演作品の中心となっている。

現在、徳永舞歌との交際も順調。


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