ガス抜き（８）

「嘘だからね。」

　念を押すように大倉くんと山本くんに言った。

　鈴木さんは悟の存在を知っている。何度か話したことがあった。相談とまではいかないにしろ愚痴めいたことを言ったこともある。

　だから鈴木さんは正美が知っている程度に私と悟の関係は知っていた。

「別れちゃえばいいのに。」

　鈴木さんはいつも言う。

「そんな簡単に決められない。」

　私は言った。

「長いしね。」

　正美が私の代わりに言った。

「好きなの？」

　鈴木さんが聞いた。

「わかんない。やめよ。この話は。」

　話題を変えたかった。悟のことを考えると気が重くなる。