恐怖(12)

文字数 419文字

 即答。その言い方に気持ちが萎えた。無理なのはわかっていたけれど突き放すような言い方に傷ついた。

 もしかしたらという淡い期待も打ち砕かれた。ただ言葉を失い口をつぐんでしまった。

「無理に決まってるじゃん。わかるだろ?」

 私が黙りこんでしまったので気が咎めたのか悟は弁解するみたいに私を説得しだした。

「怖かったのはわかるけど無理なのはミオだってわかるだろ?今更説明しなくたって。」

「うん。そうだよね。無理ってわかってたけどもしかしたらって思っただけ。大丈夫。気をつけるから。」

 そう言うしかなかった。

 私がそう言って引き下がっても悟はまるで私がとんでもないわがままを言い出したみたいな目で見ていた。

 悟が無理だと言ったのを私が不当に非難しているとでもいいたげに。逆に私が非難されてるみたいだった。

「とりあえず風呂入ってくるから。先に寝て。」

 しばらくして悟はそう言った。

「うん。おやすみ。」

 急に疲れを感じた。全部忘れて寝てしまおうと思った。
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