批難されること?(4)

文字数 604文字

 私が口をつぐむとほんの数秒の間があって正美が口を開いた。

「私には関係ないかもしれないけど・・・
 鈴木さんは?」

「鈴木さん。そう。鈴木さんのこともあるし・・・」

 私は曖昧に言いかけた。

「ミオは彼氏もいるし鈴木さんのこともある。だから武田のこと、気がないなら気をもたせるようなそぶりは残酷だよ。」

 正美の言い方にははっきりとした棘があった。

「気をもたせるようなそぶりなんてしてない。」

 なじられたようで心外だった。

「ミオにとっては何気ない普通のことでもあいつはまだ子供だから。」

 いくら正美でもそんな決め付けたような言い方にかちんときた。私はちょっとムッとして黙った。

「武田はミオと違って女慣れしてないうぶで不器用なヤツだから。ミオは女子大生の頃から男あしらいなんか慣れたもんでしょ?」

「そんなことないよ!」

 思わず強い口調になってしまった。

「とにかく気がないならあいつのこと振り回さないであげて。武田がかわいそう。」

 正美の一方的な言い方に腹が立った。でも反論するだけ無駄な気がした。

「正美の気持ちはわかった。でも私、振り回してなんかいないしそんなつもりもないから。正美の気持ち知っててこんなこと、ごめん。」

「私の気持ちはもういいの。仕方ないよ。一方的な片思いだから。私もこんなこと言いたくはなかったんだけど。ごめんね。じゃあ行くから。」

 正美はそう言って走り去った。私たちは気まずい空気を残したまま別れた。
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