行きつけ(1)

文字数 362文字

「あれから変なことないんでしょ?」

「うん。ない。大丈夫」

 私たちはお互いに一度家に戻ってからまた出直して駅の近くの居酒屋で飲んでいた。

 職場も近かったから誰かに会わないとも限らない。別にコソコソとしているわけではないから気にする必要もないということでそこで飲んでいた。

「だけど俺にはわかんないな。俺なら心配でしばらくは早く帰るけどな。それかそいつを見つけて痛めつけてやる。」

「ちょっとやめてよ。本当に痛めつけたりしないでよ。」

 武田くんなら本気でやりかねない気がして言った。

「どこのどいつかもわかんないんだしやりようがないじゃん。マジに取るなよ。」

「だって武田くんならやりそうだから。」

「うん。誰かわかってればやってやる。」

「やめてよ。誰かわからなくて良かった。武田くんの方がこわいわ。何するかわからなくて。」

 私は言った。
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