親の反対(2)

文字数 499文字

「そうか。反対されてるのか。」

 悟はそう言ったきり黙ってしまった。微妙な空気になった。

「まだ反対されてる感じ?」

 次にあった時にもそう聞かれた。

「うーん。まぁ。」

「そっか。」

 実際には出がけに母親とはかなり口論をしていたがごまかした。母親は私が誰かと交際する度に何かしら難癖めいたことを言っては反対して大騒ぎした。

 反対されていることを悟は気にしていたようだった。

 そんなデートの数日後、悟から電話がかかってきた。

「どうしたの?」

 わざわざ仕事中に会社にかけてくるなんて、なんだろうと思った。

「ごめん、ご両親と喧嘩した。」

「え?」

「だから帰ったら何か言われるかもしれない。だけど刺激しないで。」

「どういうこと?家に行ったの?」

「うん。とにかく今度ちゃんと話すけど、びっくりさせないように電話したんだから何か言われても黙って聞き流しておいて。」

「え?どうして?全然意味がわかんない。」

「とにかく電話では詳しい話は出来ないけど喧嘩になって帰ってきたから。悪いけどこれ以上刺激しないで。」

 仕事中だし電話だし、悟の話は全然埒が明かないし、それ以上話していてもダメだと思い、何も分からないまま電話を切った。




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