ささやかな誕生会(2)

文字数 306文字

「似合うね。それ。」

 武田くんはこの前作った眼鏡をしていた。照れているらしく返事は無い。ちょっとフレームに手をかけてみせただけだ。

「髪も変えたんだね。その方がずっといい。」

 私がアドバイスしたのとは微妙に違うが以前のスタイルより自然でいい。

「変だって言うから変えたんだよ。」

「変だとは言ってないよ。でもその方がずっと似合う。カッコ良くなった。」

 今度は照れ隠しもせず耳たぶのあたりまで真っ赤になって下を向いてしまった。

 ちょっとかわいい。気分がすぐに顔に出てしまうのだろう。子供っぽい。

「行こう。」

 私の視線から逃げるように言ってまた自転車をこぎはじめて先に行ってしまった。私は後から自分のペースでついていった。
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