ガス抜き(10)

文字数 386文字

「帰るね。また明日。」

 正美が私に言った。

「ごめんね。もう少しいる。」

 正美に手を振った。正美は意味ありげなアイコンタクトを返してきた。

「いつも遅いの?」

 鈴木さんが聞いてきた。悟のことだ。

「うん。だいたい24時過ぎ。1時とか別によくある。」

「晩飯は?それから食うの?」

「ううん。最近はさすがに食べなくなった。遅すぎるからいらないって。適当に途中で食べるみたい。」

「彼氏のこと?毎日そんなに遅いの?」

 山本くんが聞いた。

「うん。毎日。」

「すげえな。何の仕事?」

 大倉くんが聞いた。

「不動産関係」

「休みはあるの?」

 山本くんが聞いた。

「基本は火、水だけど最近はどっちか1日ってことが多いかな。1日中寝てるよ。」

「そりゃ無理ないじゃん。きついな。結構きついんだな、不動産関係って。」

 大倉くんが言った。

「不動産関係がみんなそうってわけじゃないと思うけどね。」

 私はそう言った。
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