どうせ1人だし(7)

文字数 510文字

「晩御飯いつも1人で食べてるの?」

 正美が私に聞いた。

「うん。最近は。休み以外はね。」

「寂しいね。」

「慣れたけどね。」

 寂しくないと言ったらウソになる。晩御飯だけの話ではない。同棲してるとはいえ、1人でいる時間がほとんどだ。

 こんなふうに誰かと飲んだりしていなければ、粗食をあっという間に食べてしまい、あとはネットを見たり動画を見たりするだけ。

「武田くんは?夕飯は寮で食べるの?」

「うん。寮で食べる。」

「今日みたいに食べない時は?」

「食べない時は書いておくんだよ。朝」

「ふぅん。でも賄い付きの寮はありがたいね。」

「金取られるし窮屈だよ。寮長はうるさいし門限はあるし。」

「門限なんてあるの?何時?」

「男子は12時。女子は11時。」

「へー。社会人なのに門限なんて厳しいんだね。」

「若い子を親元から預かるって感じだからじゃないの?多少窮屈でも1人暮らしなら食べていくだけでいっぱいでしょ。そんなに貰えないんでしょ?給料」

 正美が言った。

「まあそうだな。」

「寮で飯食って部屋戻ってテレビみたり漫画読んだり。で、風呂入って寝る。朝起きて仕事行く。1日中重いもんを担いで終わり。そんな毎日。」

 言い終わるとビールを一気に流し込んだ。
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