駆け落ちしたのに(2)

文字数 424文字

 それでも、その頃の悟のビジョンには私との将来があったと思う。

 結婚したらこうしようか、子供が出来たらこうなんじゃないかとかそんな会話もあった。

 悟が将来のパートナーを私と考えていたのは私の勝手な思い込みではなかったと思う。

 今は子供は欲しくないと悟は言った。私もそう思った。もっと2人の時間があってもいいと思っていたから。

 でもだんだんと何かが変わってしまった。いつからとははっきり言えない。異動後、元々忙しかった仕事に拍車がかかった事も原因だろう。

 徐々にお互いに喧嘩で消耗するのを嫌い、会話が減り心を閉ざすようになっていった。

 帰宅が遅いので晩御飯は済ませて欲しいと言われ、私は作ったものを先に食べ、悟の帰宅後にもう一度温め直すということをしていた。

 その頃はまだそれなりに会話もあった。でもそれすらしなくなり、そもそも会話をする時間も無くなった。

 私は寂しさ、不満などという言葉では表現しきれない大きな疑問符を胸に抱えて過ごすようになった。
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