黒縁メガネの冴えない男子(4)

文字数 404文字

 入ったラーメン店はしかもとんこつだった。私は匂いだけで酔いそうな気がした。

「とんこつかぁ。食べられるかなぁ。」

「俺はこっち出てくる前はラーメンって言ったらとんこつだったんだよ。」

「どこだっけ?」

「山口。」

「ふぅん。山口ってとんこつなんだ。」

「下関だからね。ほとんど博多だから。」

「そうか。私とんこつは食べたことない。元々ラーメン好きじゃないから、ましてとんこつなんて食べようと思ったことないし。」

「うまいのになぁ。食べてみなよ。食べられなかったら俺食べるから。」

「いいよ。食べる。」

 私はしかたなしに1番あっさりしているというのを注文してみた。ラーメンはすぐに出てきた。

「いただきます!」

 武田くんはおいしそうに麺をすすっている。私もなんとか頑張って麺だけでも食べようと思った。申し訳ないけれどスープは残すことにした。

「スープがうまいのになぁ。」

「でも無理。」

 お店の人に聞こえないように小さな声で言った。
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