ガス抜き(7)

文字数 407文字

 噂をすればというタイミングで鈴木さんがほかのマネージャーやレジチーフと数人で入ってきた。

 正美が

「ね、鈴木さん。」

 と言って笑った。

 話の見えない鈴木さんはぽかんとした表情で

「なに?」

 と言いながら私の隣の席に座った。

「なんだよ?俺の噂話?」

 着ていたジャケットを椅子の背に掛けながらそういうと入ってきた人数分のビールを注文した。

「ヤマモトが鈴木さんとミオが付き合ってるのかって聞くから違うって言ってたの。」

 正美が言った。

「付き合ってるんだよな、俺達。」

 鈴木さんが飄々としながらそう返した。

「付き合ってません。」

 私は鈴木さんと他全員に向かって否定した。

「ウソだよ。ホントは付き合ってるの、俺達。照れてるんだよ。ね、川島ちゃん。」

 鈴木さんはニヤニヤしながら私の顔をのぞき込む。

「鈴木さん!」

 私は抗議の意味を込めて鈴木さんの腕を押した。

「ほら、やっぱり仲良いじゃん。」

 男達に混じって正美までがそう言った。
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