部外者(3)

文字数 514文字

 後部座席で目を閉じていた。眠くはなかった。悟はナビなんて全く必要としている様子はない。道は知っているらしい。

 雨宮がフロントミラー越しに何回もチラチラとこちらの様子をうかがって見ていた。その度に含みのある表情を浮かべる。

 やっと到着。この地獄のドライブから解放された。

 でもバーベキューが始まると直ぐに気づいた。くるべきではなかったことに。

 参加者はみんな顔見知りだった。奥さん連中と悟が言っていた人達も皆、元は会社の従業員だった人。その中で私1人が部外者だった。

「久しぶりー。ユカちゃん」

 雨宮はユカというらしい。

「お久しぶりです。ヨウくん大きくなったねー。何ヶ月?」

「もうすぐ1歳だよ」

「早いねー。そっか。もうそんなに経つのか、矢部さん辞めてから」

「そうだよー」

「はじめまして。渡辺です」

 私も果敢にも会話に入ろうとした。

「ああ渡辺さん。結婚したんだったね。はじめまして。よろしくお願いします」

「私来ても良かったのかな?」

「え?何が?」

「なんか皆さんお知り合いみたいで」

「ああ。大丈夫ですよ、そんな気を遣わなくても」

 矢部さんとは普通に挨拶をしたがそれ以上会話は進まない。目で知り合いを探し、すぐにそちらに行ってしまった。








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