予兆（１）

　翌朝、携帯のバイブで目が覚めた。アラームをセットしてあった。何となくすっきりしない朝だった。

　二日酔いというほどひどくはない。何かの拍子に頭がカキンと痛んだ。身体も重かった。

　悟を起こさないようにベッドから出てリビングに行った。カーテンを静かに開けた。

　どんよりとして今の気分を払拭してくれる初夏の朝のすがすがしさは全くなかった。

　何かお腹に入れるべきだが空腹感は全くなく、むしろ胃がもたれたように重かった。頭痛がひどくなる前に薬を飲んでおきたかったので急いで準備を始めた。

　仕事に行きたくなかった。鈴木さんとも武田くんとも顔を合わせるのが気まずい気がした。