予兆(3)

文字数 491文字

 昼休みに正美とあった。

「今日は大丈夫だよ。うち来れば?武田も来ると思う。後で聞いてみるけど。」

「うん。たまにはうちでもいいよ。」

 昨日の武田くんの様子では来るかわからなかった。センターの一便が早いので出勤時間は私より早い。

 午前中は忙しいらしく今日は朝から姿をみていなかった。正美の前で武田くんと会いたくなかった。昨日のあの空気を隠し通せる自信がなかったからだ。

 きっと武田くんは正美の前でもはばかることなく自分の気分むきだしに振る舞うだろう。そんなことになれば正美は私と武田くんのことを変に思うに違いない。

「今日はうちに来ない?いつも正美のところばかりで心苦しいから。」

「うちは構わないよ。アヤがああ見えて人の家とかってダメなんだよね。夜遅くなって帰るのも面倒だし。私としてはうちに来てもらった方がありがたいんだよね。」

「そっか。じゃあいつも申し訳ないけどお邪魔しようかな。」

「そうしてよ。」

 正美が先に戻り10分ほど後で私が下りた。階段で武田くんとすれ違った。

「昨日はごめんね。」

「午後の休憩の時迎えに行くから。」

 ぶっきらぼうにそう言うと武田くんは階段を駆け上がっていった。
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