少し寂しいもの同士(5)

文字数 635文字

 武田くんは本当にお酒に弱いらしかった。飲むのは好きらしく、真っ赤になっていたがしばらくして寝てしまった。

「そのまま寝かしときなよ。そのうち起きるよ。」

 武田くんはそのままにして3人で飲んでいたがそろそろ22時近くなったので帰ることにした。

「そろそろ帰るね。遅くまでありがとう。」

 私は正美に言って中尾くんにどうするか聞いた。

「俺も帰る。武田、どうしよう。」

「起こそうよ。」

 私が言うと

「私は構わないんだけどさ。門限あるからね。」

 と正美が言う。

 私は武田くんを揺すって起こした。

「帰るよ。起きて。」

「あ、ああ、俺、寝てた?」

 武田くんは起き上がりながら言った。

「ずっと寝てたよ。もう遅いから帰るよ。門限あるんでしょ?」

 武田くんはいきなりシャキッと目が覚めたみたいに立ち上がって険しい表情になり

「何時?」

 と聞いた。門限破りがそれほどこわいのかとちょっと可笑しくなった。

「22時過ぎたところ。」

 帰り支度を済ませた中尾が言った。

「なんだよ、おどかすなよ。」

 気が抜けたようになる。

「早く帰ろうよ。置いていくよ。」

 私は言い置いて玄関に向かった。

「待って。俺も帰る。」

 武田くんが慌てて私と中尾くんの後についてきた。

「本当に遅くまでごめんなさい。ありがとう。」

「全然平気だよ。おやすみ。」

 正美が玄関で私たちを送り出しながら手を振った。

「おやすみー。」

 私たちも手を振り返して自転車に乗った。

「おやすみー。」

「じゃあねー。」

 私は途中から2人と別れて自分の家に向かった。
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