恐怖(1)

文字数 284文字

 帰宅して風呂から出てきたら携帯に武田くんから着信があった。

 親しくなったとはいえ電話がかかってきたことはなかった。

 (なんだろう?)

 まだ悟は帰ってなかったしかけ直すと2コール位で武田くんが出た。

「どうしたの?」

「別に用事とかじゃないんだ。ただなんとなく急に1人になったら寂しくなって。」

 いつになく、らしくないことを言う。こうして交流を持つ前の彼はいつも1人で、孤独でつかみどころがないというイメージだった。

 今でさえ職場にいて忙しそうにしている時など、全身から「話しかけないでくれ」と発信しているようで声をかけるのを躊躇してしまう。

「らしくないこと言うじゃん。」
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