行きつけ(11)

文字数 296文字

 携帯がなって松尾さんが出た。とたんに声音が変わった。

「まなちゃん、まだ起きてたの?うん、うん、うん、アンパンマンの?うん、うん、わかったよ。うん。今日はもう遅いから明日見ようね。うん、うん。わかった。じゃあね。バイバイ。」

 話している間も電話を切ってからも顔が緩みっぱなしだ。

「お子さんですか?」

 私は聞いた。

「うん。下の子。」

「何歳でしたっけ?」

「2歳。」

「かわいくて仕方ないって感じですね。」

「だってかわいいもん。写真見る?」

 松尾さんは顔を崩したまま携帯の待受を見せた。

「かわいいでしょう。」

 携帯の中で小さな男の子と女の子が笑っていた。松尾さんの言葉通り2人ともとてもかわいかった。
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