2 冷静な彼【微R】
文字数 1,648文字
彼の腕の中で快感に酔う。
時は無情にも進んでく。
こうしている間にも彼の心を蝕んでいるというのに。
「何がそんなに恥ずかしいの」
不思議そうに問いながら和宏の髪を撫でる手。
「ねえ、こっちを見て。俺を感じてよ」
チラリと指の隙間から優人の様子を窺えば、優しい笑みを浮かべこちらを見つめていた。
ずっと負い目があるのは、自分が許されない恋をしていると思っているから。
許されない恋とは何を指すのだろう?
不倫や浮気はダメだと思う。しかし国が違えば考え方も変わる。
実際に不倫を良しとする国は存在するし、重婚ができる国も存在するのだ。
例えば、犯罪的なものがダメだとして恋はもとより一方的なものであるから、行動に移さず想っているだけなら誰にも迷惑はかけないだろう。
ならばその【許されない】は叶うことは世間的に許されない、法的に許されないを指すのだろうか。
では【その許されない】をこの国や良識常識に当てはめてみた場合、法的に問題のは未成年という点。良識常識なら不倫や浮気。
自分と彼はどちらにも当てはまらない。
恋愛とは一人でするものではないから相手の同意があればいい。
普通ではないと言われたらそうかもしれない。
しかし許されない恋ではないのかもしれないと思う。
──俺がこんなだから、いつまでも苦しめてしまうんだ。
どうして胸を張っていられないのだろう。
好きになることは、相手が誰であっても悪いことではない。
それだけ相手に魅力があるということなのだから。
「しょうがない人だなあ」
優人は一つため息をつくとちゅっと和宏の指に口づける。
「キスしたいから手をどけてよ」
”キスは嫌?”と続けて問う。
「好き」
答えておずおずと手を退けると優しく細められた瞳と視線がかち合った。そのまま、触れるだけの優しい口づけ。
「何がそんなに恥ずかしかったの?」
耳元で再び優しく問われ、甘いその声に酔う。
「勘違いしたから」
「そっか」
ふふっと笑って和宏の首筋に顔を埋める彼。
「意地悪しているつもりはなかったんだ。ごめん」
言葉にされるとますます恥ずかしい。
「でも、もっと思っていること言って欲しいって思う」
「んん……ッ」
しっかりと欲情の塊を己の中に感じているというのに、相変わらず彼は冷静だ。
「俺がそうさせているのかもしれないけれど、年上だとか兄だとか考えなくていいよ」
「あ……ッ」
深く奥まで突かれゆっくりと引かれると快感が和宏の背中を駆け抜けた。
「生まれは変えられなくても、人生も運命も変えられなかったとしても。俺が今欲しいのは恋人という立場だけなんだ」
達 っていいよとでも言うように、彼が何度も和宏の良いところを刺激していく。和宏は優人の切ない告白を聞きながら、与えられるままに快感に溺れ熱を吐き出していたのだった。
「やっぱり、お前どっかおかしいよ!」
いつもはそんなことを言わない和宏も流石に耐えかねて抗議するが、優人は笑っているばかりでまともに取り合ってはくれない。
「なんだか平田みたいなこと言うね、兄さん」
「俺はちょっと平田君の気持ちが理解できた……と思う」
「なんで曖昧なの」
和宏は可笑しそうに笑う優人に指先を掴まれ引き寄せられた。
「俺はッ……最中に冷静でいられるお前が理解できないよ。お前の理性どうなってんの」
「さあね」
何を聞いても無駄だと諦めた和宏は手を引かれるままに彼の隣に腰かけると質問の内容を変えてみる。
「優人はさ、もし兄弟じゃなかったらって考えたことある?」
「まあ、あるよ」
”でもそれは”と続けて。
「兄弟でなければ良かったのにというネガティブなものじゃないかな。だって、もし違う形で出会っていたとしたらこんな風に惹かれ合わなかったかもしれないでしょ」
「それは……そうかも」
「こうなることが運命だったとしたら、兄弟であることもそうなるための要因の一つなわけじゃない? とは言え、いばらの道だよねとは思う」
優人がその【いばら道】をどんな意味合いで言っているのか、和宏は知りたいと思った。
時は無情にも進んでく。
こうしている間にも彼の心を蝕んでいるというのに。
「何がそんなに恥ずかしいの」
不思議そうに問いながら和宏の髪を撫でる手。
「ねえ、こっちを見て。俺を感じてよ」
チラリと指の隙間から優人の様子を窺えば、優しい笑みを浮かべこちらを見つめていた。
ずっと負い目があるのは、自分が許されない恋をしていると思っているから。
許されない恋とは何を指すのだろう?
不倫や浮気はダメだと思う。しかし国が違えば考え方も変わる。
実際に不倫を良しとする国は存在するし、重婚ができる国も存在するのだ。
例えば、犯罪的なものがダメだとして恋はもとより一方的なものであるから、行動に移さず想っているだけなら誰にも迷惑はかけないだろう。
ならばその【許されない】は叶うことは世間的に許されない、法的に許されないを指すのだろうか。
では【その許されない】をこの国や良識常識に当てはめてみた場合、法的に問題のは未成年という点。良識常識なら不倫や浮気。
自分と彼はどちらにも当てはまらない。
恋愛とは一人でするものではないから相手の同意があればいい。
普通ではないと言われたらそうかもしれない。
しかし許されない恋ではないのかもしれないと思う。
──俺がこんなだから、いつまでも苦しめてしまうんだ。
どうして胸を張っていられないのだろう。
好きになることは、相手が誰であっても悪いことではない。
それだけ相手に魅力があるということなのだから。
「しょうがない人だなあ」
優人は一つため息をつくとちゅっと和宏の指に口づける。
「キスしたいから手をどけてよ」
”キスは嫌?”と続けて問う。
「好き」
答えておずおずと手を退けると優しく細められた瞳と視線がかち合った。そのまま、触れるだけの優しい口づけ。
「何がそんなに恥ずかしかったの?」
耳元で再び優しく問われ、甘いその声に酔う。
「勘違いしたから」
「そっか」
ふふっと笑って和宏の首筋に顔を埋める彼。
「意地悪しているつもりはなかったんだ。ごめん」
言葉にされるとますます恥ずかしい。
「でも、もっと思っていること言って欲しいって思う」
「んん……ッ」
しっかりと欲情の塊を己の中に感じているというのに、相変わらず彼は冷静だ。
「俺がそうさせているのかもしれないけれど、年上だとか兄だとか考えなくていいよ」
「あ……ッ」
深く奥まで突かれゆっくりと引かれると快感が和宏の背中を駆け抜けた。
「生まれは変えられなくても、人生も運命も変えられなかったとしても。俺が今欲しいのは恋人という立場だけなんだ」
「やっぱり、お前どっかおかしいよ!」
いつもはそんなことを言わない和宏も流石に耐えかねて抗議するが、優人は笑っているばかりでまともに取り合ってはくれない。
「なんだか平田みたいなこと言うね、兄さん」
「俺はちょっと平田君の気持ちが理解できた……と思う」
「なんで曖昧なの」
和宏は可笑しそうに笑う優人に指先を掴まれ引き寄せられた。
「俺はッ……最中に冷静でいられるお前が理解できないよ。お前の理性どうなってんの」
「さあね」
何を聞いても無駄だと諦めた和宏は手を引かれるままに彼の隣に腰かけると質問の内容を変えてみる。
「優人はさ、もし兄弟じゃなかったらって考えたことある?」
「まあ、あるよ」
”でもそれは”と続けて。
「兄弟でなければ良かったのにというネガティブなものじゃないかな。だって、もし違う形で出会っていたとしたらこんな風に惹かれ合わなかったかもしれないでしょ」
「それは……そうかも」
「こうなることが運命だったとしたら、兄弟であることもそうなるための要因の一つなわけじゃない? とは言え、いばらの道だよねとは思う」
優人がその【いばら道】をどんな意味合いで言っているのか、和宏は知りたいと思った。
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