3 時折わからなくなる現実【微R】
文字数 1,614文字
──何故こんなことになったんだっけ?
「んんッ……」
優人は膝の上に兄を横抱きにし、彼の中心部を愛撫していた。
ホラーが苦手なくせに見たがる兄は、案の定最初の衝撃的なシーンで顔を覆ったのだ。ぎゅっと抱き着く彼があまりにも可愛かったので、うまいこと言いくるめて膝の上に抱き上げた。
──理性なんてモノは手放そうとすれば容易に手放せる。
「映画……もういいのか?」
上気した頬、潤んだ瞳でこちらを見上げる彼。返事をする代わりにその唇を塞ぐ。"自分にとってはこっちの方がずっといい"などと思いながら。
「ねえ、兄さん。向こうへ行こうか」
ソファーの上で密着しているのも良いが、愛撫だけではなくそれ以上のこともしたいと思った。
この状態で歩くのは嫌だというように優人を見つめる彼。優人は大丈夫だよと言うように、腕の中の彼をひょいっと抱えて立ち上がる。
「冷たい?」
ひんやりとしたベッドの上に下ろすと熱を帯びた彼が身震いした。
「少し」
「すぐに熱くなるよ」
彼の方を見て微笑みながらシャツを脱ぎ捨てた優人。その意味を理解し、彼はほんのりと頬を赤らめた。
やはりまだこんな時は恥ずかしがる彼に初々しさを感じて嬉しくなってしまう。
「ホラーは苦手なのに、なんでそんなに見たがるの?」
兄に覆いかぶさりながら素朴な疑問を口にする。苦手な癖に視たがるから一緒に観る選択をするのだが。
「怖いのも血を見るのも嫌だけれど、ホラーにはミステリーというか謎の部分が含まれるだろ? 面白いのは面白いんだよ」
確かに言い知れない恐怖と言うのは”なんだかわからない”から恐怖に感じるものなのだ。兄の言い分はよく分かる。
「でもやっぱり、血が飛び散ったりするは怖いし……」
上目遣いに見つめる兄が可愛くて、彼の髪に指を差し入れると耳を親指の腹で撫でながらその唇に自分の唇を押し当てた。
日々の中でどんな変化を遂げ、何が変わらないままなのか。
まだ分からないままだけれど。
優人は兄の滑らかな肌に手を滑らせ親指の腹で胸の突起に触れる。
「ん……」
甘い吐息に酔ってその首筋に唇を寄せた。触れた手から伝わる彼の鼓動。自分は確かに生きていて、恋をしてその体温を感じているはずだ。
もしかしたらこれは現実ではなく、妄想 の中なのかもしれないとも思う。
人間と言う生き物が。この世界が。
何かの夢の中に存在していることを否定することはできないのだ。感覚もある。そして一人一人が何らかの思想を持って生きているはず。
それでも『自分は妄想の産物かも知れない』と思ったことはないだろうか?
生まれてきたのは誰かの意思かもしれない。
けれども生まれて来たからには生きるための選択をすべきなのに、人は戦争と言う名の大義名分を振りかざし殺し合ってばかりいる。
どうして殺人は赦されないのに、戦争は赦されるのか?
何が違うのかわからないままに。
愛しい人へ愛を伝えるためにその体温に触れる。
「気持ちいいの?」
肌を撫でる優人の手首を兄が掴む。
「いいよ」
”でも”と彼は続ける。抱き合いたいのだと。
優人は兄の願いを叶えるべく、片腕を彼の背中に差し入れぎゅっと抱きしめた。全身に伝わるその愛しい体温が”現実ならいい”と思わせる。
これが誰かの夢でなければいい。
人類に現実あるのだろうか?
五感というもので日々いろんな感覚を得ているはずなのに、何処か他人ごとに思える世界。
その世界の中で自分にとって現実だと思える日々を紡ぐ自分。
恐らくきっとそれでいいのだ。考えすぎたところで答えなんて見つからないのだから。
「優人」
「うん?」
「また何か考え事?」
こっちに集中してよと言うように兄に耳を甘噛みされ
た。
「耳は弱いからダメだってば」
いたずらが成功し、ふふふと笑う兄の双丘に手を滑らせる優人。中指の腹で最奥の蕾を撫でれば、彼がびくりと反応する。
「そろそろこっち。慣らそうね」
「ん……ッ」
「んんッ……」
優人は膝の上に兄を横抱きにし、彼の中心部を愛撫していた。
ホラーが苦手なくせに見たがる兄は、案の定最初の衝撃的なシーンで顔を覆ったのだ。ぎゅっと抱き着く彼があまりにも可愛かったので、うまいこと言いくるめて膝の上に抱き上げた。
──理性なんてモノは手放そうとすれば容易に手放せる。
「映画……もういいのか?」
上気した頬、潤んだ瞳でこちらを見上げる彼。返事をする代わりにその唇を塞ぐ。"自分にとってはこっちの方がずっといい"などと思いながら。
「ねえ、兄さん。向こうへ行こうか」
ソファーの上で密着しているのも良いが、愛撫だけではなくそれ以上のこともしたいと思った。
この状態で歩くのは嫌だというように優人を見つめる彼。優人は大丈夫だよと言うように、腕の中の彼をひょいっと抱えて立ち上がる。
「冷たい?」
ひんやりとしたベッドの上に下ろすと熱を帯びた彼が身震いした。
「少し」
「すぐに熱くなるよ」
彼の方を見て微笑みながらシャツを脱ぎ捨てた優人。その意味を理解し、彼はほんのりと頬を赤らめた。
やはりまだこんな時は恥ずかしがる彼に初々しさを感じて嬉しくなってしまう。
「ホラーは苦手なのに、なんでそんなに見たがるの?」
兄に覆いかぶさりながら素朴な疑問を口にする。苦手な癖に視たがるから一緒に観る選択をするのだが。
「怖いのも血を見るのも嫌だけれど、ホラーにはミステリーというか謎の部分が含まれるだろ? 面白いのは面白いんだよ」
確かに言い知れない恐怖と言うのは”なんだかわからない”から恐怖に感じるものなのだ。兄の言い分はよく分かる。
「でもやっぱり、血が飛び散ったりするは怖いし……」
上目遣いに見つめる兄が可愛くて、彼の髪に指を差し入れると耳を親指の腹で撫でながらその唇に自分の唇を押し当てた。
日々の中でどんな変化を遂げ、何が変わらないままなのか。
まだ分からないままだけれど。
優人は兄の滑らかな肌に手を滑らせ親指の腹で胸の突起に触れる。
「ん……」
甘い吐息に酔ってその首筋に唇を寄せた。触れた手から伝わる彼の鼓動。自分は確かに生きていて、恋をしてその体温を感じているはずだ。
もしかしたらこれは現実ではなく、
人間と言う生き物が。この世界が。
何かの夢の中に存在していることを否定することはできないのだ。感覚もある。そして一人一人が何らかの思想を持って生きているはず。
それでも『自分は妄想の産物かも知れない』と思ったことはないだろうか?
生まれてきたのは誰かの意思かもしれない。
けれども生まれて来たからには生きるための選択をすべきなのに、人は戦争と言う名の大義名分を振りかざし殺し合ってばかりいる。
どうして殺人は赦されないのに、戦争は赦されるのか?
何が違うのかわからないままに。
愛しい人へ愛を伝えるためにその体温に触れる。
「気持ちいいの?」
肌を撫でる優人の手首を兄が掴む。
「いいよ」
”でも”と彼は続ける。抱き合いたいのだと。
優人は兄の願いを叶えるべく、片腕を彼の背中に差し入れぎゅっと抱きしめた。全身に伝わるその愛しい体温が”現実ならいい”と思わせる。
これが誰かの夢でなければいい。
人類に現実あるのだろうか?
五感というもので日々いろんな感覚を得ているはずなのに、何処か他人ごとに思える世界。
その世界の中で自分にとって現実だと思える日々を紡ぐ自分。
恐らくきっとそれでいいのだ。考えすぎたところで答えなんて見つからないのだから。
「優人」
「うん?」
「また何か考え事?」
こっちに集中してよと言うように兄に耳を甘噛みされ
た。
「耳は弱いからダメだってば」
いたずらが成功し、ふふふと笑う兄の双丘に手を滑らせる優人。中指の腹で最奥の蕾を撫でれば、彼がびくりと反応する。
「そろそろこっち。慣らそうね」
「ん……ッ」
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