4 この世界の中で【微R】
文字数 1,592文字
髪を撫で、頬を伝い、首筋を辿る。
何度も何度も唇を求め合い、愛を囁いた。
性交そのものに愛を証明する力はない。相手を求めるのに愛は必要不可欠なものでもなく。行為には繫殖する力があるだけ。
それでも人はそこに『愛』を込めることができる。
愛を囁きながら、快楽だけを求めることもできる。
人間とは不思議な生き物なのだ。
正解なんてないし、何を正解と感じるのかもその人次第。
そして自分が正解だと思ってしていることが相手にとって正解とも限らない。
それでも自分は、愛しいから求めるのだと伝えたかった。
「和宏」
わき腹からゆっくりと肌を撫で上げる。
人の人生は儚い。だから『愛』を求めて、人と肌を重ねるのだろう。
いつ来るか分からない別れは、いつか必ず訪れるものだから。
その時に後悔しないように。
──俺には兄さんさえいればいい。
他には何も……いらない。
どうして人は理不尽に幸せを奪われるのだろう。
この世に生まれてきたことは奇跡的な確率で。
自分の命は自分のものであるはずなのに。
平和にならない世の中に不安を感じながら生きなければならない。
もし、全ての人類が愛と思いやりに溢れていたなら。
それでも人の幸せなんてものは、ちっぽけで平凡なものなのだと思った。
例えばどんなにお金があって豪遊しようとも。働くことなくダラダラしていようとも。そこには虚無しかない。
ささやかでも、愛する人と温もりを分け合うことの方がずっと幸せを感じられるから。
暑い中、涼しい場所に移動し『天国』だと感じることはあるだろう。
しかし寒い中、温かいものを食したり温かい風呂にありつけることには『幸せ』と感じるはずだ。つまり、温かさは『幸せ』に直結する。
だから人は優しさや温もり、愛に触れた時に幸せを感じるのだろう。
兄を阿貴から助け出そうとしたあの日、世間的には間違った関係でも自分の信じた道を突き進もうと決めた。家族に反対されても、この手は離さないと誓ったのだ。
自分の愛撫で色づく兄の肌に唇を寄せる。もっと感じてと囁きながら。
愛に溺れるのがこの混とんとした世界からの一時的な現実逃避でも構わないと思う。この愛に嘘はないから。
「ん……っ」
熱を持つ彼自身を握り込み、その手を上下に動かせば兄の肩がピクリと反応する。耳たぶを甘噛みし、再び唇を奪う。
蜜を先端に溜め、びくびくと厭らしく揺れるソコ。思わず凝視してしまう。
先端から零れ落ちるほどにジェルを垂らし扱き上げれば、卑猥な音を立てる。
「いいね。たまらない」
「あっ……」
両手で口元を抑え、声を我慢する兄。
優人は満足気にその姿を見下ろした。
「……ッ」
”達 ってもいいんだよ”と優人は彼の耳元で煽り、更に強く上下する。今は愛だけを感じて行為に没頭すればいい。優しく静かに流れる音楽も今はその耳に届きはしないだろう。
優人はただ彼の熱を煽った。
先の事なんて考えず、二人だけの世界で居られたらいいのにと願いながら。このまま永遠に時が止まればいいと思いながら。
「んん……あああッ」
導かれるままに熱を放つ彼の鈴口を見つめる。
「そんな……見ないで」
「なんで?」
自分の手で彼が達する瞬間がとても好きだった。それを眺めるのも。
「恥ずかしいよ」
「いいじゃない。とても興奮するよ?」
顔を赤らめ、口元を抑える彼の腹部を濡れたティッシュで拭ってやりながら、その手元にちゅっと口づけた。
「それに、これからもっと恥ずかしいことするじゃない」
「それは……そうだけど」
”否定はしないんだな”と心の中で呟き、クスリと笑う。
内ももを下に向かって撫でながら膝のところで一旦手を止める。滑らかな肌が手に心地よい。
「いつまでも慣れないのは、個人的にアリ」
「何言っているんだよ」
優人の言葉に眉を寄せた兄。その彼の膝の後ろに手を差し入れるとグイっと持ち上げベッドに押し付けた。
何度も何度も唇を求め合い、愛を囁いた。
性交そのものに愛を証明する力はない。相手を求めるのに愛は必要不可欠なものでもなく。行為には繫殖する力があるだけ。
それでも人はそこに『愛』を込めることができる。
愛を囁きながら、快楽だけを求めることもできる。
人間とは不思議な生き物なのだ。
正解なんてないし、何を正解と感じるのかもその人次第。
そして自分が正解だと思ってしていることが相手にとって正解とも限らない。
それでも自分は、愛しいから求めるのだと伝えたかった。
「和宏」
わき腹からゆっくりと肌を撫で上げる。
人の人生は儚い。だから『愛』を求めて、人と肌を重ねるのだろう。
いつ来るか分からない別れは、いつか必ず訪れるものだから。
その時に後悔しないように。
──俺には兄さんさえいればいい。
他には何も……いらない。
どうして人は理不尽に幸せを奪われるのだろう。
この世に生まれてきたことは奇跡的な確率で。
自分の命は自分のものであるはずなのに。
平和にならない世の中に不安を感じながら生きなければならない。
もし、全ての人類が愛と思いやりに溢れていたなら。
それでも人の幸せなんてものは、ちっぽけで平凡なものなのだと思った。
例えばどんなにお金があって豪遊しようとも。働くことなくダラダラしていようとも。そこには虚無しかない。
ささやかでも、愛する人と温もりを分け合うことの方がずっと幸せを感じられるから。
暑い中、涼しい場所に移動し『天国』だと感じることはあるだろう。
しかし寒い中、温かいものを食したり温かい風呂にありつけることには『幸せ』と感じるはずだ。つまり、温かさは『幸せ』に直結する。
だから人は優しさや温もり、愛に触れた時に幸せを感じるのだろう。
兄を阿貴から助け出そうとしたあの日、世間的には間違った関係でも自分の信じた道を突き進もうと決めた。家族に反対されても、この手は離さないと誓ったのだ。
自分の愛撫で色づく兄の肌に唇を寄せる。もっと感じてと囁きながら。
愛に溺れるのがこの混とんとした世界からの一時的な現実逃避でも構わないと思う。この愛に嘘はないから。
「ん……っ」
熱を持つ彼自身を握り込み、その手を上下に動かせば兄の肩がピクリと反応する。耳たぶを甘噛みし、再び唇を奪う。
蜜を先端に溜め、びくびくと厭らしく揺れるソコ。思わず凝視してしまう。
先端から零れ落ちるほどにジェルを垂らし扱き上げれば、卑猥な音を立てる。
「いいね。たまらない」
「あっ……」
両手で口元を抑え、声を我慢する兄。
優人は満足気にその姿を見下ろした。
「……ッ」
”
優人はただ彼の熱を煽った。
先の事なんて考えず、二人だけの世界で居られたらいいのにと願いながら。このまま永遠に時が止まればいいと思いながら。
「んん……あああッ」
導かれるままに熱を放つ彼の鈴口を見つめる。
「そんな……見ないで」
「なんで?」
自分の手で彼が達する瞬間がとても好きだった。それを眺めるのも。
「恥ずかしいよ」
「いいじゃない。とても興奮するよ?」
顔を赤らめ、口元を抑える彼の腹部を濡れたティッシュで拭ってやりながら、その手元にちゅっと口づけた。
「それに、これからもっと恥ずかしいことするじゃない」
「それは……そうだけど」
”否定はしないんだな”と心の中で呟き、クスリと笑う。
内ももを下に向かって撫でながら膝のところで一旦手を止める。滑らかな肌が手に心地よい。
「いつまでも慣れないのは、個人的にアリ」
「何言っているんだよ」
優人の言葉に眉を寄せた兄。その彼の膝の後ろに手を差し入れるとグイっと持ち上げベッドに押し付けた。
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