12節「閉じられた夢 1」
文字数 1,435文字
治療室に向かいました。
伝わってきます。
吏星さんが、誰よりも自分の過ちを恥じて、
抱え込んでしまう優しい人だということを、
私は知っています。
でも、それは私だって変わりありません。
吏星さんの言っていることも、きっと正しい。
「元を正せば……」という意味では。
でも、私は……
それはすごく、悲しいことだと思うから……。
誰もがそれぞれ問題を抱えている。
そしてそれが、最悪の形ですれ違ってしまった。
今回の件は、そうして今の状況を迎えてしまいました。
だから……誰か1人のせいなんてこと、ありません。
夢うさぎの皆でこの苦痛を分かち合って、
乗り越えて行かなければならない。
私はそう思います。
固く握り締めました。
そうすることで初めて、自分の手が恐怖と不安で震えていることを自覚できました。
それが今はとてつもなく頼もしくて……。
不安が胸からスッと引いて行くのを感じました。
患者さんの隣りで私たちも眠りに就く必要があります。
通常の睡眠とは異なった感覚だそうですが、
今回の私は吏星さんに手を引っ張ってもらってことで、何とかそれを掴みます。
いよいよ私たちの挑戦が始まります……!
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