10節「すれ違う 3」
文字数 1,437文字
誰もが顔を伏せ、何も言葉を発せない。
それぞれが何を思って、
何をしたくて、ここにいるのか。
その1つ1つが、今は闇に包まれて
しまっているように感じます……。
小さく笑ってヨウタくんはぼそりと言いました。
ヨウタくん……?
な、何を言って……いくら彼女のことが大好きだとしても……これはさすがに……
今までお母さんが好きなのも……彼女を守ろうと豪語するのも……歳相応の男の子だからと思って接してきました。
でも何だか……彼はもっと別の……
夢月くんが声を荒げて制止しようとします。
しかし吏星さんはそれに全く動じません。
今度は明確にヨウタくんに向け、言葉を紡ぎ続けます。
ように治療室を去りました……。
その後を追いかけます……。
私も呆然としている場合ではありません……!
大変なことになってしまいます……!――けれど、どうして吏星さんはあんなことを……
ヨウタくんの泣き叫ぶ声……。
初めて見る彼の、心から弱った顔……。
2人と入れ替わるような形で治療室にやってきました。
まるで……この展開を予期していたかのように……。
私は2人を追いかけます……!
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