終節「満月 1」
文字数 2,400文字
ヨウタくんの治療が終わって1ヶ月が経ちました。
カフェ夢うさぎは相変わらずの大盛況ぶり。
今日も今日とて大忙しです!
いつになったら夢に出てきてくれるんですかー?
私たちずっと待ってるのにー!
女性として夢うさぎで働く私は変な誤解を招かぬよう、実はなるべく距離を取るようにしています……。
えー!!
こんなに大好きなのに―!!
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女子高生達の顔に自分のしたり顔を寄せました……!
オーダー票を持ったまま、自ら厨房に向かいました。
気が付けば、蓮夜さんと私がセットで並ぶ珍しい状況。
裏の営業中も、最近は2人きりになることはあまりありません。
2人の時に彼に伝えておきたいことがありました。
冗談で言っているのか。
それがわからないのが蓮夜さんの困るところです……。
最小限の言葉でヒントをくれる。
その1つ1つの小さな引っ掛かりが、大きな行動を起こす引き金になることが、何度もありました。
だから、蓮夜さん抜きで何とかなったとは、
私にはとても思えないんです。
今までもこれからもきっとそう。
それは、蓮夜さんにもちゃんと伝えておきたかったんです。遅くなってしまったけど、今日言えて良かった!
お水くーださい❤
あの……
タイミングを見計らってか、声をかけてきたのは……
裏のお客さんが表に来てくれることも、たまにあります!
一際良い笑顔を作ったかと思うと……
私たち全体から1人の人に視線を
合わせ直して口を開きます。
どこまで信用して良いのやら……。
あの………………!
客前に立ち、レジ打ちの準備を始めました。
しかし……
この方は……少なくとも……
私の知らない方……のはずですが……。
いらっしゃるような気がしていまして……。
自分が思っているより、吏星さんも女の子に
人気だと伝えてあげた方が良いのかも……
あまりの珍事(?)に面食らってしまい……!
この後、あの女性を慌てて追いかけました!『ナイキスTAS』の最新情報はTwitterをチェック!