終節「眠りの園 夢うさぎ亭へようこそ! 2」

エピソード文字数 2,017文字

…………はい。

やっぱり……駄目……ですか?

……どうする、吏星?

…………。
宝生さんと紫吹さんは私に背中を向けて、

2人で話を始めました。


そうですよね……

夢想師という特殊な人達の中に私が入るなんて……

都合が良い……ですよね……。

……それが彼女の望みならば。

……了解。

……え? え?

!!

それじゃあ!!
あぁ。
良いんですか?

本当に!?

フフッ!

歓迎するよ、天崎そらちゃん!

……ありがとうございます!

よろしくお願いします、紫吹さん!

えー、せっかくこれから一緒に過ごすんだし、蓮夜って呼んでよ。

僕のこと紫吹って呼ぶの、夢うさぎの周りだと吏星しかいないよ?

……分かりました!

よろしくお願いします! 蓮夜さん!

うん、よろしくね。
あ、吏星のことも吏星で良いからね。

こいつ、これで自分の名前結構気に入ってるから。

えっと……?
……好きに呼べ。
じゃあ……

よろしくお願いします、吏星さん。

……あぁ。
これは現実みたいな夢?

それとも夢みたいな現実?


何だかよく分からなくなってきましたが、とにかく今すごく……すっごく嬉しいです! これから3人と一緒に夢うさぎの一員として働けるなんて……!

早乙女、まずはお前が色々教えてやってくれ。

へへ! 了解!

ってわけだから!

これからよろしくな、そら!

知っての通り特殊な店だが、お前ならすぐに慣れるはずだ。夢想師としての仕事のバックアップも頼みたい。
それに、君ほど純粋な心を持っている人なら、行く行くは……

紫吹……

っと、ごめんごめん。
…………?
蓮夜さんが何かを言いかけたような気がしましたが……よく聞き取れませんでした。


でも今はそれで良い。

分からないことがあっても、

何か理由があったとしても、

このお店で一緒に働くことができるのが、何より幸せなこと……。それだけで私には十分なんです。

そうだね、早速準備しなくちゃ。
フッ……

たまには、騒がしいのも悪くない。

待ってて!

すぐに整えるからさ!

そ、その場で歓迎パーティー……すごい展開です……。

流石3人でカフェを切り盛りしている人達……。

つ、付いていけるよう頑張らなきゃ……!

うおおおおおおお!!

夢月くんは声をかける間もなく物凄い勢いで厨房に走って行き、目にも止まらぬスピードで食器を整理し始めました。


吏星さんも効率的な動きで自分の周りを整えながら、夢月くんが勢いでミスしないようにフォローして行っています。すごいコンビネーションです……!


蓮夜さんは――

夢月ちゃーん、

茶葉とポット出しといたから。


あとはよろしくねー。

おっけー!

サンキュー蓮夜!

……紫吹?

あ、ちょっとそこのイス動かしてもらって良い?

僕はこの花瓶の水、替えとくから。
了解!
やる必要があるのか分からないことをしています……。


基準は多分ですが……

「大変ではないこと」だと……思います……。

おい、蓮夜……!

あ、それと冷蔵庫の中……

確認しておいたけど、結構食材が残ってるね。

マジか!

えーっと、生ものはなるべく使い切っちゃいたいから……。

フフッ、上手くやってね!
諸々の確認と作業?を終えた蓮夜さんは、笑顔で私の元にやってきました。


これで大丈夫なんでしょうか……?

……ごめん、もう少し待っててね。
…………?

そうそう退屈凌ぎに

君に聞いてもらいたい話が――

鬼のような形相をした吏星さんが、

蓮夜さんの肩を掴んで思いっきり引っ張りました。

やっぱり蓮夜さんは

何を考えているのかよく分かりません……。

ーーーーーーーー
お待たせ!

さぁ、今日からそらもこの店の仲間だぜ!

フフッ!

4人揃っていつもの面子って感じかな。

そうだな。

ここにいる皆で、沢山の夢と未来を共に見て行こう。

……はい!
――これからこのお店で、

どんなことが待っているのでしょう。


どんな患者さんが現れて、

私はどんな経験をするのでしょう。

今は全く想像もできません。


けれど、きっとこの4人でなら大丈夫。


困難を乗り越え、楽しい未来に辿り着くことができる。

たくさんの人に、幸せを届けて行くことができる。

彼らは私に、そう思わせてくれるんです。


あの日、私に大きな希望をくれた素敵な人達と一緒に、

私はこれから"夢うさぎ"の一員として、

誇りを持って生きて行きます!

改めまして……




――これは

悪夢に口付けしたあの日から"目覚めた話"。




 『Nightmare Kiss...』

 -The Awakened Story-

     第零章

Welcome to Your Dream

      完



                  第一章「Waxing The Moon」へ続く

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登場人物紹介

天崎 そら(あまさき そら)(20)※一章時

主人公。人々を悪夢から救う"夢うさぎ亭"で働く一般女性。

自分よりも相手のことを優先する心優しい性格で、大抵のことは受け止めてしまう。

一章では夢うさぎでの経験から、自分の意見を言う勇気を持てるようになった。

(※本作では主人公の個人設定はフリーなため、定まった容姿は存在しません)

早乙女 夢月(さおとめ むつき)(19)※一章時

まだ夢の世界で夢魔を祓ったことがない半人前の夢想師。

前向きで明るく裏表がない天真爛漫な性格で、深く強く他人の気持ちに寄り添える豊かな人間性を持つ。

そのおかげで、夢の世界を現出するために必要な「心のパイプ」を繋ぐところまでは誰よりも完璧にこなすことができ、秘めたるポテンシャルは天才的。

しかし、その事実を本人はまだ自覚できないでいる。

宝生 吏星(ほうしょう りせい)(24)※一章時

夢の空間の現出を得意とする夢想師。

他人のことを真剣に考えすぎてしまう性分で根が優しい。

反面、冷静で効率主義かつ真顔で言葉遣いがきつい。そのため人に避けられやすく、本人も少し気にしている。

実直で真面目すぎる苦労人気質。不測の事態に陥ると熱くなりやすい一面も。

夢うさぎの実質的なリーダーとして振る舞っている。後輩である夢月の指導について、自分とあまりにタイプが違うことにかなり悩んでいるらしい。

紫吹 蓮夜(しぶき れんや)(不明)※一章時

夢魔の駆除を得意とする夢想師。

天性のルックスと王子様気質により何もしなくてもモテる美男子。

いつもニヤニヤとしていて、何を考えているのかよく分からない。

自分の身内をからかって遊ぶのが趣味で周りも手を焼いているが、他人が本心から嫌がることは絶対しないバランス感覚を持っているため、何故か憎まれない。

吏星とは付き合いが長く、お互いがお互いの"扱い方"を熟知している節がある。

ヨウタ(5)

一章の核となる少年。来年度から小学生。

ある理由で夢魔に憑かれてしまい、夢うさぎを訪れる。

幼稚園などに通えておらず、家に1人でいる時間が長い。

テレビやおもちゃを心の拠り所にしており、最近は特撮作品ブレイブテイカーがお気に入り。家で何度も繰り返し見ては元気を貰っている。

ヨウタの母(33)

一章に登場。

息子 ヨウタの悪夢を治すため、夢うさぎを訪れる女性。

夢想師の治療には原則本人しか招待されないが、ある理由から付き添いが認められている(ただし、治療の実態を知ることはできない)

佐藤 アキラ(さとう あきら)(30)

一章に登場。

悪夢の治療を受けに夢うさぎ亭を訪れる研究者。

仕事の重圧に負けまいと日々頑張っているが、家族の理解を得られないことに頭を悩ませている。

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