2節「ずっと君の力になりたい 3」
文字数 1,215文字
けど、それはそれだけ彼が真剣である証拠でもあります……。
悪夢を治療するだけでなく、私の力になりたい。
彼は本気でそう言ってくれました。
私は本当に笑っていたのか、作り笑いをしていたのかさえ、自分でもよく分からないんです。
それくらい私は、周りに合わせるのに
必死で生きてきました。
でもその笑顔を……
夢月くんは好きだったと言ってくれました。
"頑張っていること"を、
誰かに認めてもらえたのは……。
私の目から涙が流れ、頬を伝っていました。
私は、誰かにずっと……こういう言葉をかけてもらいたかったのかもしれません。
私の話をたくさん聞いてくれたと思います。
私が不安だったこと。
私が抱えていたこと。
私が自分で気付いていなかった、内に秘めていたこと。
彼が自分から話すことはなく、ただ促すようにその全てを私の中から吐き出させてくれたんです。
すごくすごく、心が温まる時間でした。
残念ながらよく覚えていないのですが……。
夢月くんのその言葉を耳にしたのを最後に私の意識は途切れ、安らかな眠りへと落ちました。
濃く灰色がかったどんよりとした空だけが特徴的に見える、酷く無機質な空間でした。