11節「夢想師と共心者 1」
文字数 1,082文字
私たちは変わらず夢うさぎに出勤しています。
お昼は吏星さんの判断で臨時休業となり、
昼夜問わずヨウタくんの治療に集中ことになりました。
――来ていない、夢月くんを除いて……。
私はただ、そうであってほしいと思っただけだから……。
現実的に考えれば、蓮夜さんの言う通り……。
けれど……夢月くんが……
あの時私を気遣って笑顔を向けてくれた夢月くんが……
そんな選択をするなんて、私にはどうしても思えませんでした。
――そんなことを考えながらも、蓮夜さんに何も言い返せずにいると、不意にお店の扉が小さな音を立てて開きました。
吏星さんは複雑そうな表情を浮かべます。
夢月くんが来てくれたことは嬉しいはずです。
でも、一昨日をなかったことにはできませんから……。
そう何度も呟いた夢月くんは、急に全身の力を失ってその場に崩れ落ちてしまいました。
咄嗟に動いた吏星さんが、
その身体を受け止め抱えます。
これは私の知っている通りなら蓮夜さんの……
でも、それを夢月くんに行う意味が、
私には飲み込めませんでした。
蓮夜さんの行いによって、
相当の激痛が身体を襲ったようです……。
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