12節「閉じられた夢 3」
文字数 1,213文字
極太のレーザーめいた何か……。
ギリギリ目視できた範囲だけでも
俺の全身を優に覆えるほどの直径はあるようだった。
感じたことのない風圧と熱量の塊。
一瞬気付くのが遅れていたら
今の一撃で終わっていたかもしれない……。
悠長に構えてはいられない……!
確かに未曽有の攻撃ではあったが……
知ってさえしまえば、軸を合わせなければ良いだけのこと!
そのままの勢いで俺は空間を駆け抜けた。
同時に目線で、射出された波動の先端を辿る。
その先にこそ果たすべき目的がある!
全体への知覚が機能しないこの空間で
直線的な攻撃をぶつけてくるとは寧ろ好都合……!
探す手間が省けたぞ――!
発射された波動の太さに違わない超巨大型……。
途轍もなく厄介なヤツに早乙女も憑かれたものだ……!
さぁ姿を現せ……!
一体、何の動物を模している……!
目覚めるとそこは真っ暗な空間でした。
吏星さんと夢の世界に……。
――先ほどまでと違い、
今は五感で状況を判断できているようです。
肉体の感覚もある、ということは……
ここは確かに夢空間の中……のはず……。
でも何だか様子が……?
その先に吏星さんの姿が見えました。
けれど画面越しに彼を見ているような状態で……
どうやら私と吏星さんは別の場所にいる……ということ……?
そこには夢月くんが立っていました。
夢月くんは……画面越しではありません。
私と同じ場所にいてくれているようです。
完全に現状を飲み込めているわけではないですが、
夢月くんに会えたという事実だけで、ひとまず心をなで下ろすことができました。
私たちがそこに立てていない。
なら、これはきっと私の問題。
私が夢月くんの気持ちにもっと寄り添えればきっと――
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