7節「あの日からの気持ち 3」
文字数 1,321文字
――自分だけが不幸だ。
――自分が悪いからこんなに苦しむんだ。
そう思っていた時の私は、自分より輝いている人たちを、ただただ眩しいとだけ感じていました。
自分とは全然違って、人生が楽しそうで……。
私もそうなれたらどんなに良かっただろうと、
醜く妬むことしかできなかったんです。
でも夢月くんはそうじゃないことを……
誰もが完璧じゃないということを、
私に教えてくれました。
それも言葉ではなく、気持ちで……です。
頑張っている自分を褒めてあげようと思った。
こんなに素敵な人と、同じように私も苦しんで、
同じように頑張ってきたと思えたこと。
それが私にとって大きな救いになったんです。
そんな夢月くんの気持ちが、
偽物だなんてこと……あるわけない。
悪いことばかりに目が行くもの。
他人には言えても、自分ではできない。
……誰だってそう。
だから私は見てほしい。
あなた自身に見えていない、あなたの良いところを。
私が知ってるあなたの……素敵なところを。
考え込む夢月くんの顔を見ていたら、
スッと我に返りました……。
つい歯止めが利かなくなっちゃって……。
さすがに余計なお世話、だったかも……。
油断した……。
今まで向けられたことがないようなとびっきりの優しい笑顔に、思わずドキッとしてしまいました……。
蓮夜さんみたいなこと言わないでよ……。
まぁ夢月くんの場合、無意識なんだろうけど……。
でも……こんな冗談が言えるくらい、私の気持ちが伝わったということだったら、嬉しいです。
上手く……行きますように……。
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