3節「”外”からの来訪者 4」
文字数 930文字
そう……経緯はどうであれ、この状況は正しく「夢月くんがヨウタくんと打ち解けることができた」と言い切って良いものです。
それはすなわち、私たちはヨウタくんの治療への大きな壁を1つ、越えられたと考えられます。
子供に憑いた夢魔を祓う最初の難関は、心を通わせるのが難しいことだと言われているが……
まさかあいつが子供とも
打ち解ける術を持っているとはな。
好きな特撮の話で盛り上がったおかげで、すっかり素直な少年になったヨウタくん。
ブレイブのおかげで恐くないのは分かった
けどさ、できれば見たくないって思わない?
夢月くんは治療を行える方向へと、着実に話を持って行きます。
こういうところは流石の腕前です。
ヨウタくんは、夢月くんの言葉を聞いてチラリとお母さんの方を見遣ります。
……何だかんだ言ってまだ子供、
やはり治療が恐いのでしょう。
ママも今はヨウタのその夢のことで
頭がいっぱいみたいだ。
早く元気になって、ママを守れる
強い男になろうぜ、ヨウタ!
ですがここでも流石の夢月くんです。相手が子供でもしっかり相手の心に寄り添い、
相手の気持ちを良い方向へと導いて行きます。
頭で考えて誘導して行くのではなく、感情で相手を安心させて結果を得る。
それが彼の素敵なところなんです!
……ことこういった部分に関してだけは本当に天才的だな、早乙女は。
そういうのは本人に直接言ってあげなよ。跳んで喜ぶと思うのに。
残念だがまだ時期尚早だ。
あいつが一人前になった時には、
伝えることもあるだろう。
――こうして夢月君のおかげで、無事ヨウタ君の治療が始められることになりました。
難しいとされる子供の治療……。
私たちは乗り越えて行くことが、
果たしてできるのでしょうか……!
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