5節「君のこと、本気にさせてみたい 1」
文字数 1,595文字
宝生さんは素でああいう人なんだろうな……とか、誰か指摘してあげる人は周りにいないのかな……とか、多分自分のやっていることの意味にあまり気付いていないんだろうな……とか。
そうこう頭をぐるぐるしている内に扉が開く音がして、私は我に返りました。
入ってきたのは――
紫吹 蓮夜さんです……!
私は遠くから見ているだけでちゃんと喋ったことはないので、逆にこういう状況にあることに心臓が高鳴ってしまいます……。
けれど……いえ、だからこそ彼と夜に2人きりという状況を……意識しないわけではない……です……。
遠くから、眺めるように、少しだけ、のはずでした。
「皆に囲まれるほど魅力がある人ってどういう"存在"なんだろう」ということが気になってしまって……。
体温が上がってしまうのを感じています……。
そう言えば夢うさぎには最初、夢月くんはいなかったと聞いたことがあります。紫吹さんと宝生さんは、付き合いが長いのかもしれません。
何が本心で、何が冗談なのか……
全然分かりません……。