14節「夢月の世界 1」
文字数 1,628文字
バランスを崩してしまいました。
目立った怪我はないようですが、何か
大きなダメージを受けているようです。
私の同化も成功したようです。
私も鮮明な感覚で夢の世界に立てています。
心の外側から飛来した夢月くんが持っていたのは、
まるでヒーローが持つような煌びやかな剣……。
遂に彼が自分を侵していた夢魔と戦います。
一人前の……"夢想師"として……!
それと同時に夢月くんは勢いよく跳躍。
その高さは巨大な夢魔を遥かに上回り、
上空から叩きつけるように剣を振り下ろします!
目にも止まらぬ速さで斬撃を繰り出し、
夢魔に反撃の隙を与えません……!
夢魔は動きを鈍らせたまま、
夢月くんの攻撃を受け続けました。
心の外側を突き破った最初の一撃が、
響いていたのかもしれません……!
反撃の構えを取り始めます。
吏星さんに行った攻撃と同じなら、
見た目より素早い攻撃が飛んでくるはず……!
夢月くん……!
夢月くんは余裕の動きでそれを回避します……!
夢月くんはすかさず天を駆け、
怒涛の攻撃を繰り出し続けます。
……思えばさっきも夢月くんは、
狙って攻撃を出させたのかもしれません……。
間合いと敵の攻撃スピードを測るために……。
とにかくこの時の夢月くんは圧倒的で……
自信に満ち溢れた彼の勇ましさは、
状況を忘れて見惚れてしまうほどでした。
――夢想師は好きに攻撃の種類を選べる。
だから吏星さんや蓮夜さんのように、
飛び道具を利用した攻撃を扱えば
より確実で安全なはずです。
でも夢月くんは"自分に合った手段"として、
あえて剣を持つことを選んだ。
私も吏星さんも、ここまでの流れを思うと、
その事実につい笑みが零れてしまいました。
斬撃の軌跡からその威力が伺えます……!
その場に崩れ落ちて小刻みに痙攣し始めました。
もう、まともに動くことはできなさそうです。
全てを乗り越えた先のこの戦いで、
得体の知れない強力な夢魔をこんな一方的に……。
…………?
どうしたのでしょう……。
ジッと見据えて動かなくなりました。
その空気を破ったのは、突然の夢魔の咆哮。
耳を劈くような勢いのそれは、
悲鳴とも取れる痛々しい響きでした。
身体をビクつかせながらエネルギーを溜め、
油断していた夢月くんと正面から相対します……!
しかし……
夢魔が突如として身体をぐるりと回し、
夢月くんから狙いを大きく逸らしました。
そして、新たに向き直ったその先は――
――私……?
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