夏が、はじまる。#7 Side Yellow
文字数 383文字
練習終わりを告げる号令。正座して挨拶をする時間がいちばん過酷。ここで汗が一気に噴き出すもんだから、通気性の悪い道着と、あと頭、めっちゃムレる。
「マキ!」
掃除を終えてモップを片づけていると、どこかからあたしを呼ぶ声がした。見上げると、道場を見下ろせるバルコニーから、手を挙げる人影。あれは……
「ちなっちゃん! 珍しいじゃん、どうしたの?」
「マキ、今日一緒に帰れる?」
あたしは首を傾げた。彼女からこんな提案をされるのはほんとに珍しい。それと……よく見えないけど、後ろにくっついてるのは誰?
「いいよ、すぐ行くから外で待ってて!」
あたしが答えたのと、
「井川! 早くしなさい!」
先輩の怒声が飛んできたのはほぼ同時。あと着替えるだけなんだから、これぐらい許してよ、もう……
あたしはちなっちゃんに手を振って、慌てて更衣室へ向かった。
「マキ!」
掃除を終えてモップを片づけていると、どこかからあたしを呼ぶ声がした。見上げると、道場を見下ろせるバルコニーから、手を挙げる人影。あれは……
「ちなっちゃん! 珍しいじゃん、どうしたの?」
「マキ、今日一緒に帰れる?」
あたしは首を傾げた。彼女からこんな提案をされるのはほんとに珍しい。それと……よく見えないけど、後ろにくっついてるのは誰?
「いいよ、すぐ行くから外で待ってて!」
あたしが答えたのと、
「井川! 早くしなさい!」
先輩の怒声が飛んできたのはほぼ同時。あと着替えるだけなんだから、これぐらい許してよ、もう……
あたしはちなっちゃんに手を振って、慌てて更衣室へ向かった。