あの音は待っている。 #7 Side Red
文字数 706文字
てんちゃんは、握られた手をしばらく見つめてたけど、ちらりと上目遣いにあたしを見上げた。
「ボクなんかで、いいの?」
あたしは「ううん」と首を横に振ってから、まっすぐにてんちゃんの目を見つめ返した。
「あたしたちは、てんちゃんがいいの。てんちゃんと、マジな音楽をやりたい」
息を止めて、てんちゃんの返事を待つ。しばらく黙っていたてんちゃんが、聞き逃しそうなくらい小さな声で呟いた。
「……甘えてたのは、ボクのほうだと思ってたのにな」
「え?」
「ナオ、手、離して」
おそるおそる手を離すと、てんちゃんは大げさなため息をついて手をぶんぶん振った。
「あーもう、強く握りすぎ。血流止まるかと思った」
「あ、ごめん……」
小さく肩をすくめるあたしを横目に、てんちゃんは首の後ろに手を回した。
「こうなると、サポートというか準レギュラーみたいだけど……ね」
「……!」
しゃり、と小さな音を立てて、てんちゃんの胸元に、黒いペンダントが提げられた。チェーンを整えながら、てんちゃんが仏頂面のまま訊いてくる。
「……どう?」
あたしは気持ちを受け取ってもらえた嬉しさで、黙って頷くことしかできなかった。あたしの後ろにいた二人が、いっせいにてんちゃんに駆け寄る。
「準レギュラーでも、肩書きはなんだっていいわよ」
「そうそう、あたしたちが『仲間』ってことがブレなければ、ね!」
二人に両側から抱きつかれて、てんちゃんはちょっと迷惑そうな顔をしながら、でも二人の肩をぎゅっと掴み返した。
あたしもその輪に近づいて、てんちゃんの手にそっと手を重ねた。
「これからもよろしくね、てんちゃん……!」
「……うん」
三人と一人の、あたしたちのバンドの形が完成した。
「ボクなんかで、いいの?」
あたしは「ううん」と首を横に振ってから、まっすぐにてんちゃんの目を見つめ返した。
「あたしたちは、てんちゃんがいいの。てんちゃんと、マジな音楽をやりたい」
息を止めて、てんちゃんの返事を待つ。しばらく黙っていたてんちゃんが、聞き逃しそうなくらい小さな声で呟いた。
「……甘えてたのは、ボクのほうだと思ってたのにな」
「え?」
「ナオ、手、離して」
おそるおそる手を離すと、てんちゃんは大げさなため息をついて手をぶんぶん振った。
「あーもう、強く握りすぎ。血流止まるかと思った」
「あ、ごめん……」
小さく肩をすくめるあたしを横目に、てんちゃんは首の後ろに手を回した。
「こうなると、サポートというか準レギュラーみたいだけど……ね」
「……!」
しゃり、と小さな音を立てて、てんちゃんの胸元に、黒いペンダントが提げられた。チェーンを整えながら、てんちゃんが仏頂面のまま訊いてくる。
「……どう?」
あたしは気持ちを受け取ってもらえた嬉しさで、黙って頷くことしかできなかった。あたしの後ろにいた二人が、いっせいにてんちゃんに駆け寄る。
「準レギュラーでも、肩書きはなんだっていいわよ」
「そうそう、あたしたちが『仲間』ってことがブレなければ、ね!」
二人に両側から抱きつかれて、てんちゃんはちょっと迷惑そうな顔をしながら、でも二人の肩をぎゅっと掴み返した。
あたしもその輪に近づいて、てんちゃんの手にそっと手を重ねた。
「これからもよろしくね、てんちゃん……!」
「……うん」
三人と一人の、あたしたちのバンドの形が完成した。