空白を埋める人。#6 Side Yellow
文字数 725文字
「まあ、そううまくはいかないよね……」
ひととおりの事情を聞いて、スタジオに集まったあたしとなおっちゃんは苦笑いしながらも頷いた。
てんちゃんのお気持ち確認の件は、昨日のうちにちなっちゃんからメッセージで結果は聞いていた。バンドには入らない、一人で音楽をやりたいという意思確認。てんちゃんの気持ちがわかった以上、あたしたちにはどうすることもできない。
「ごめんなさい、頼まれてたのに、理由までは訊けなくて……」
偵察役だったちなっちゃんは、申し訳なさそうに肩をすくめた。あたしは首を横に振って、
「ちなっちゃんは悪くないよ。深追いしてこじれてもよくないし。『一人がいい』っててんちゃんが言うなら、それで」
それぞれやっていくしかないよ、と笑ってみせた。てんちゃんが「一人でやりたい」って言うなら、その道の邪魔はできない。あたしたちは別の手を考えるしかない。
「ただ、ちょっと気になることもあって……」
と、ちなっちゃんが話を続けようとしたそのとき、「あれ?」となおっちゃんが声を上げた。見ていたのは、目の前にある壁の鏡。今日は横並びで演奏してみようって、なおっちゃんをはさむようにちなっちゃんとあたしが並んでいる。
なおっちゃんの視線は、並んでいるあたしたちを越えて、後ろのほうへ向かっていた。
「ナオ、どうしたの?」
「ううん……ちょっと二人とも、準備進めてて」
なおっちゃんはギターを抱えたまま、おもむろに背後にあったドアに近づいた。そして、
「えいっ」
「うわっ!?」
勢いよくドアを開けると、そこに寄っかかってたらしいてんちゃんが、ドアが開くままに転がり込んできた。
えっ、なんでてんちゃんがここに?
ひととおりの事情を聞いて、スタジオに集まったあたしとなおっちゃんは苦笑いしながらも頷いた。
てんちゃんのお気持ち確認の件は、昨日のうちにちなっちゃんからメッセージで結果は聞いていた。バンドには入らない、一人で音楽をやりたいという意思確認。てんちゃんの気持ちがわかった以上、あたしたちにはどうすることもできない。
「ごめんなさい、頼まれてたのに、理由までは訊けなくて……」
偵察役だったちなっちゃんは、申し訳なさそうに肩をすくめた。あたしは首を横に振って、
「ちなっちゃんは悪くないよ。深追いしてこじれてもよくないし。『一人がいい』っててんちゃんが言うなら、それで」
それぞれやっていくしかないよ、と笑ってみせた。てんちゃんが「一人でやりたい」って言うなら、その道の邪魔はできない。あたしたちは別の手を考えるしかない。
「ただ、ちょっと気になることもあって……」
と、ちなっちゃんが話を続けようとしたそのとき、「あれ?」となおっちゃんが声を上げた。見ていたのは、目の前にある壁の鏡。今日は横並びで演奏してみようって、なおっちゃんをはさむようにちなっちゃんとあたしが並んでいる。
なおっちゃんの視線は、並んでいるあたしたちを越えて、後ろのほうへ向かっていた。
「ナオ、どうしたの?」
「ううん……ちょっと二人とも、準備進めてて」
なおっちゃんはギターを抱えたまま、おもむろに背後にあったドアに近づいた。そして、
「えいっ」
「うわっ!?」
勢いよくドアを開けると、そこに寄っかかってたらしいてんちゃんが、ドアが開くままに転がり込んできた。
えっ、なんでてんちゃんがここに?