音を重ねて。#1 Side Red
文字数 919文字
「あとひとり……」
「あとひとりか……」
「あとひとりなんだよね……」
帰り道。三人揃って、溜息。
井川さん……もとい、まきちゃんに言ってなかったのはマジでごめんって感じなんだけど、実はバンドは三人で完成、じゃなかった。
「いや、ちなっちゃんがギターなのは知ってたけど、なおっちゃんもだとは思わないじゃん……?」
「だからごめんって……もうひとり、ドラムの子が見つかれば完璧だから!」
「完璧までの道のりが長そうね」
ちーちゃんから痛い一言。
「でもっ、やりたいって言い始めてさ、一日でここまで揃ったんだから、逆に褒めてくれてもよくない?」
「そこはちなっちゃんの手柄だと思う」
まきちゃんも味方してくれない……ごめんなさいもう何も言いません。
というわけで、現状はあたしがギターボーカル、ちーちゃんがギター、まきちゃんがベース、の三人。現在ドラムを叩けるメンバーを絶賛募集中!
……なんだけど、学校内を探し回ってみたけど、ドラムをやってくれそうな人は全然見つからなくて。ほかの学年も、知り合いを手あたり次第あたってみたけど、全滅。
「まあ、そういう人はそもそも軽音に入ってる可能性が高いものね」
人探しの惨敗具合を愚痴ったら、そう言ってちーちゃんは苦笑いしてた。でもだからといって、軽音に助っ人を頼むんじゃ本末転倒だ。
そうこうしてるうちに夏休みに入っちゃって、まずは一回スタジオ入ってみる? となって集まったのが、今日。
二人とは駅前で待ち合わせ。まきちゃんはデニムのサロペットにノースリーブのTシャツ、ちーちゃんはふわっとしたブラウスに黒スキニーのスタイルで現れた。楽器を持って集まるのも、二人の私服を見るのも初めてだから、それだけでテンションアガっちゃう。でも、
「なおっちゃん、遊びにいくんじゃないんだからね」
ワクワクしてたのを見抜かれたのか、早々にまきちゃんにたしなめられた。はい、ごめんなさい。
「でも、スタジオっていってもたくさんあるよね……どこ行こうか?」
あたしがケータイで調べようとするのを、「ストップ」とちーちゃんが制した。
「いいところ知ってるから、ついてきて」
「あとひとりか……」
「あとひとりなんだよね……」
帰り道。三人揃って、溜息。
井川さん……もとい、まきちゃんに言ってなかったのはマジでごめんって感じなんだけど、実はバンドは三人で完成、じゃなかった。
「いや、ちなっちゃんがギターなのは知ってたけど、なおっちゃんもだとは思わないじゃん……?」
「だからごめんって……もうひとり、ドラムの子が見つかれば完璧だから!」
「完璧までの道のりが長そうね」
ちーちゃんから痛い一言。
「でもっ、やりたいって言い始めてさ、一日でここまで揃ったんだから、逆に褒めてくれてもよくない?」
「そこはちなっちゃんの手柄だと思う」
まきちゃんも味方してくれない……ごめんなさいもう何も言いません。
というわけで、現状はあたしがギターボーカル、ちーちゃんがギター、まきちゃんがベース、の三人。現在ドラムを叩けるメンバーを絶賛募集中!
……なんだけど、学校内を探し回ってみたけど、ドラムをやってくれそうな人は全然見つからなくて。ほかの学年も、知り合いを手あたり次第あたってみたけど、全滅。
「まあ、そういう人はそもそも軽音に入ってる可能性が高いものね」
人探しの惨敗具合を愚痴ったら、そう言ってちーちゃんは苦笑いしてた。でもだからといって、軽音に助っ人を頼むんじゃ本末転倒だ。
そうこうしてるうちに夏休みに入っちゃって、まずは一回スタジオ入ってみる? となって集まったのが、今日。
二人とは駅前で待ち合わせ。まきちゃんはデニムのサロペットにノースリーブのTシャツ、ちーちゃんはふわっとしたブラウスに黒スキニーのスタイルで現れた。楽器を持って集まるのも、二人の私服を見るのも初めてだから、それだけでテンションアガっちゃう。でも、
「なおっちゃん、遊びにいくんじゃないんだからね」
ワクワクしてたのを見抜かれたのか、早々にまきちゃんにたしなめられた。はい、ごめんなさい。
「でも、スタジオっていってもたくさんあるよね……どこ行こうか?」
あたしがケータイで調べようとするのを、「ストップ」とちーちゃんが制した。
「いいところ知ってるから、ついてきて」