p72 三人合わせて所持金20円
文字数 1,013文字
「僕はこんなに近い場所からプロトタキシーテスが見れて大満足さ」
「たぬキノコは大満足だって。キャピタルはどうだ」
「おれも別にいいかな。巨大きのこの森林公園なんて、他にもたくさんあるし」
「そっか。オレは少し歩きたいから、ちょっと向かいの公園を散策して来る」
静かな曲を聞きながら夜の公園を歩きたい。
昨日からやられっぱなしの自分を癒したい。
「じゃあおれも行くわ」
「邪魔だ来んな帰れ」
例の鼻歌をBGMに、肩車のまま道路を渡り、比較的空いている公園までソロは連行されてしまった。
キャピタルの鼻歌に合わせて、たぬキノコも一緒になってノリノリで拍子を取っている。
ソロも足でキャピタルの胸板と腹筋をバシバシ蹴って拍子を取ったが、全然効かない。
「カノジョがいる奴は去れ」
「うるせーな。肩車されてる分際で、エラそうに」
「さっきから降ろせっつってんのに、お前が地面に降ろしてくんないからだろっ」
ブルーシートを広げて、焦げたプロトタキシーテスを肴に酒盛りをしている集団がところどころにいる。
ソロはやっと肩車から降ろしてもらい、向かいの公園のプロトタキシーテスを見上げた。
その黒い塊がファンドのシルエットと重なって、泣きそうになった。
おまけに、自分以外はみんな林田を知っているのに、自分だけが林田のことがわからないなんて。
やっぱり、仲が良いと思っていたのは自分だけで、当の林田からはそうは思われていなかったのかもしれない。
そして、冬でも半袖のキャピタルに彼女がいたなんて。
顔はダラけているが、一応あのゲロビンタに似ているから、シャンとしている時はカッコイイのかもしれない。
シャンとしている瞬間など見たことが無いが。
柴田姉弟の恋愛事情のショックで、ソロの中の林田が月まで吹っ飛んでしまいそうだ。
「ソロぉ、なんで震えてるんだぁ? 寒いのかぁ? 」
キャピタルはいつの間にかアメリカンドッグを食っていた。
三人合わせて20円しか持っていなかったはずなのに、どこで手に入れたのか。
キャピタルの彼女の詳細も知りたいが、アメリカンドッグの出どころも気になる。
「キャピタル、いつの間にアメリかん」
「ソロ、今から校長先生もこっちに来るって」
彼女ではなくアメリカンドッグの出どころを聞こうとしたところで、たぬキノコから横やりが入った。
「なんで? 」
「さっき三人合わせて20円しかないことを伝えたら、『電車賃持っていくから待ってなさい』って」
「たぬキノコは大満足だって。キャピタルはどうだ」
「おれも別にいいかな。巨大きのこの森林公園なんて、他にもたくさんあるし」
「そっか。オレは少し歩きたいから、ちょっと向かいの公園を散策して来る」
静かな曲を聞きながら夜の公園を歩きたい。
昨日からやられっぱなしの自分を癒したい。
「じゃあおれも行くわ」
「邪魔だ来んな帰れ」
例の鼻歌をBGMに、肩車のまま道路を渡り、比較的空いている公園までソロは連行されてしまった。
キャピタルの鼻歌に合わせて、たぬキノコも一緒になってノリノリで拍子を取っている。
ソロも足でキャピタルの胸板と腹筋をバシバシ蹴って拍子を取ったが、全然効かない。
「カノジョがいる奴は去れ」
「うるせーな。肩車されてる分際で、エラそうに」
「さっきから降ろせっつってんのに、お前が地面に降ろしてくんないからだろっ」
ブルーシートを広げて、焦げたプロトタキシーテスを肴に酒盛りをしている集団がところどころにいる。
ソロはやっと肩車から降ろしてもらい、向かいの公園のプロトタキシーテスを見上げた。
その黒い塊がファンドのシルエットと重なって、泣きそうになった。
おまけに、自分以外はみんな林田を知っているのに、自分だけが林田のことがわからないなんて。
やっぱり、仲が良いと思っていたのは自分だけで、当の林田からはそうは思われていなかったのかもしれない。
そして、冬でも半袖のキャピタルに彼女がいたなんて。
顔はダラけているが、一応あのゲロビンタに似ているから、シャンとしている時はカッコイイのかもしれない。
シャンとしている瞬間など見たことが無いが。
柴田姉弟の恋愛事情のショックで、ソロの中の林田が月まで吹っ飛んでしまいそうだ。
「ソロぉ、なんで震えてるんだぁ? 寒いのかぁ? 」
キャピタルはいつの間にかアメリカンドッグを食っていた。
三人合わせて20円しか持っていなかったはずなのに、どこで手に入れたのか。
キャピタルの彼女の詳細も知りたいが、アメリカンドッグの出どころも気になる。
「キャピタル、いつの間にアメリかん」
「ソロ、今から校長先生もこっちに来るって」
彼女ではなくアメリカンドッグの出どころを聞こうとしたところで、たぬキノコから横やりが入った。
「なんで? 」
「さっき三人合わせて20円しかないことを伝えたら、『電車賃持っていくから待ってなさい』って」