p101
文字数 1,100文字
「その時、ブルーセルはまだ子供で私は反対したのだが、浮島商工会に押し切られてタヌキの浮島へ連れて行かれてしまった。各島から、菌類に寄生されていない屈強な戦士が選抜されて、タヌキの浮島へ送り込まれたのだが・・・・・・」
「じゃあ、オレみたいな中途半端なきのこが上陸したら、ナラタケにやられちまうかな」
「我々のように菌類に寄生されていると、その特性上、隙間から入り込んで中から食われてしまうそうだ。詳しくは知らぬが。もともと死んだ倒木を食ってたナラタケが、人為的に手を加えられて、まだ生きている生物にまで手を出すようになって、枯れ木や死体はもちろん、生きた木に巣くうキクイムシが持つマイカンギアまで食い尽くす個体が現れた」
「マイカンギアってなんだ」
「共生菌を保持する器官だ」
「ほう。わからん」
「菌を保管するポッケだ。この場合、キクイムシがナラ菌をマイカンギアに保持して感染を広げるのだが、仲間である同じ菌類まで食らいつくすという貪食 ぶり。同一個体の貪食ナラタケが島一帯に菌糸を伸ばして占領し、三年前に至る。果たして、今はどうなっていることやら」
「浮島でも一番発展を遂げていたタヌキの浮島が壊滅状態なのを、なんで誰も知らないんだ? そんな事態になっていたら、地上の国が救援に行きそうな気がすっけど」
「弱みは隠しておくに限る。タヌキの浮島の連中はズル賢くて頭が回るし、その辺は抜かりないんだろうよ」
言い方がナンだが、たぬキノコの仲間ならば賢いという点においては納得できる。
「で、ブルーセルはなんで急に暴れ出したんだよ」
「ブルーセルはタヌキの浮島へリベンジに行きたいのさ。3年前に生還してから、ずっとこだわり続けているから。言葉が通じなくても、『ナラタケ』って単語には異常に食いつくのだ」
白山羊の言葉を聞いて、たぬキノコが顔を上げた。
その目が訴えるように、真っすぐブルーセルを捕えている。出会ったばかりで言葉すら交わしていないというのに、たぬキノコの関心を一心に受ける大山羊。
流石モテる山羊は違う。スタンハンセンの曲が相まって光り輝いている。
「ぼ、僕も! 僕も故郷へ行きたい! みんなに会いたい、みんなを助けたいよ・・・・・・! 」
ソロの時とはエライ違いである。
ソロには『出家する』とまで言い切っていたのに。
確かに、たぬキノコの出家を引き留めたい一心で突発的に出た無責任な発言よりも、いかにも強くて実戦経験のある大山羊の方が勝率は高そうに思える。
たぬキノコの反応の違いに、ソロは切なくなってしまった。
種族を超えてモテる者とそうでない者の違いを見せつけられてしまい、テンションがダダ下がりである。
「じゃあ、オレみたいな中途半端なきのこが上陸したら、ナラタケにやられちまうかな」
「我々のように菌類に寄生されていると、その特性上、隙間から入り込んで中から食われてしまうそうだ。詳しくは知らぬが。もともと死んだ倒木を食ってたナラタケが、人為的に手を加えられて、まだ生きている生物にまで手を出すようになって、枯れ木や死体はもちろん、生きた木に巣くうキクイムシが持つマイカンギアまで食い尽くす個体が現れた」
「マイカンギアってなんだ」
「共生菌を保持する器官だ」
「ほう。わからん」
「菌を保管するポッケだ。この場合、キクイムシがナラ菌をマイカンギアに保持して感染を広げるのだが、仲間である同じ菌類まで食らいつくすという
「浮島でも一番発展を遂げていたタヌキの浮島が壊滅状態なのを、なんで誰も知らないんだ? そんな事態になっていたら、地上の国が救援に行きそうな気がすっけど」
「弱みは隠しておくに限る。タヌキの浮島の連中はズル賢くて頭が回るし、その辺は抜かりないんだろうよ」
言い方がナンだが、たぬキノコの仲間ならば賢いという点においては納得できる。
「で、ブルーセルはなんで急に暴れ出したんだよ」
「ブルーセルはタヌキの浮島へリベンジに行きたいのさ。3年前に生還してから、ずっとこだわり続けているから。言葉が通じなくても、『ナラタケ』って単語には異常に食いつくのだ」
白山羊の言葉を聞いて、たぬキノコが顔を上げた。
その目が訴えるように、真っすぐブルーセルを捕えている。出会ったばかりで言葉すら交わしていないというのに、たぬキノコの関心を一心に受ける大山羊。
流石モテる山羊は違う。スタンハンセンの曲が相まって光り輝いている。
「ぼ、僕も! 僕も故郷へ行きたい! みんなに会いたい、みんなを助けたいよ・・・・・・! 」
ソロの時とはエライ違いである。
ソロには『出家する』とまで言い切っていたのに。
確かに、たぬキノコの出家を引き留めたい一心で突発的に出た無責任な発言よりも、いかにも強くて実戦経験のある大山羊の方が勝率は高そうに思える。
たぬキノコの反応の違いに、ソロは切なくなってしまった。
種族を超えてモテる者とそうでない者の違いを見せつけられてしまい、テンションがダダ下がりである。