p102 貪食ナラタケの討伐受注
文字数 1,138文字
「お願いです、白山羊の女王様」
「無茶を言うんじゃないよ、タヌキ。各浮島から選抜された戦士たちが敗北したナラタケに、ブルーセルとキミが行ったところで勝てるわけが無いだろう」
「でも、女王様は横取りしたいんですよね。僕の浮島のナラタケを」
「横取りできるもんならしたいが、得られる利益をリスクが上回っている」
たぬキノコと白山羊をよそに、ソロはひたすら床を転がり回っていた。
ブルーセルがどつきまわすのをやめてくれないし、キャピタルは練習に飽きたのか、非常食のアメリカンドッグを一心不乱に食っていて全然ソロを助けてくれそうもない。
一体、奴はアメリカンドッグを何本持ち歩いているのだろう。
「なあ白山羊、ブルーセルはなんでまだオレをどつき回すん」
「トロピカルな坊ちゃんの中に、坊っちゃん以外の何かがいて気になるらしい」
「バンクのBM菌かな。オレ、昨日首取れそうになって治療でめっちゃ入れられたんだ」
「ほう、首を。BM菌で。体は拒絶反応を起こしたか」
急に、白山羊がぐいと乗り出してきた。
「え、し、死ぬほど吐いたし痛かったぜ」
「BM菌が。死ぬほど。それはそれは、さぞかし大量に注入されたのでは? 」
「だろうな。こいつのせいでオレの位置が供給元に丸わかりらしい。クソだぜ」
「供給元に居所が知れる程。それはそれは」
白山羊の四角い瞳孔が光った。
「トロピカルなお坊ちゃんよ。BM菌が協力者を呼ぶ菌類だと知っているか」
「知ってる。ていうかトロピカル言うな。オレはまちゅもとソロだ。あっちのデカいのは柴田パピタン。白山羊は」
ソロはブルーセルに転がされて肝心な部分を正確に発音できなかった。
「固有名詞なんてどうでもいい、白山羊と呼べ。坊ちゃんたちがここへ来たのはBM菌の思 し召 しかもな。さっそく行くぞ、タヌキの浮島へ」
「は?! なんでそんな即決? こ、こころのじゅんびってもんが」
白山羊の決定に、ブルーセルは高らかに鳴き声を上げ、ソロをどつくのを辞めて東屋の中で暴れ始めた。
本当に優しくて繊細な山羊なのだろうか。
今のところ、その片鱗は全く見られない。ただの暴れ大山羊だ。
「みんなにここへ戻ってくるように知らせなくては。あ、いいや、どうせすぐ戻ってくるから、残りたいものは待機でいいや」
「軽っ。なんだよ、急に。どうしたんだよ」
「今どこにいるのかな、タヌキの浮島・・・・・・」
白山羊はソロを無視して、たぬきノコの浮島の現在地を、空中ディスプレイを広げて検索するのに夢中になっている。
衛星通信が使えて羨ましい。
「キャピタル。たぬキノコの浮島へナラタケ退治に行くってさ。すぐつくっぽい」
「マジかよ。じゃ、帰ったら、おれも二年に進級だな。もう二学期も終わりだし、うまくいけば来年の四月で三年生か」
「無茶を言うんじゃないよ、タヌキ。各浮島から選抜された戦士たちが敗北したナラタケに、ブルーセルとキミが行ったところで勝てるわけが無いだろう」
「でも、女王様は横取りしたいんですよね。僕の浮島のナラタケを」
「横取りできるもんならしたいが、得られる利益をリスクが上回っている」
たぬキノコと白山羊をよそに、ソロはひたすら床を転がり回っていた。
ブルーセルがどつきまわすのをやめてくれないし、キャピタルは練習に飽きたのか、非常食のアメリカンドッグを一心不乱に食っていて全然ソロを助けてくれそうもない。
一体、奴はアメリカンドッグを何本持ち歩いているのだろう。
「なあ白山羊、ブルーセルはなんでまだオレをどつき回すん」
「トロピカルな坊ちゃんの中に、坊っちゃん以外の何かがいて気になるらしい」
「バンクのBM菌かな。オレ、昨日首取れそうになって治療でめっちゃ入れられたんだ」
「ほう、首を。BM菌で。体は拒絶反応を起こしたか」
急に、白山羊がぐいと乗り出してきた。
「え、し、死ぬほど吐いたし痛かったぜ」
「BM菌が。死ぬほど。それはそれは、さぞかし大量に注入されたのでは? 」
「だろうな。こいつのせいでオレの位置が供給元に丸わかりらしい。クソだぜ」
「供給元に居所が知れる程。それはそれは」
白山羊の四角い瞳孔が光った。
「トロピカルなお坊ちゃんよ。BM菌が協力者を呼ぶ菌類だと知っているか」
「知ってる。ていうかトロピカル言うな。オレはまちゅもとソロだ。あっちのデカいのは柴田パピタン。白山羊は」
ソロはブルーセルに転がされて肝心な部分を正確に発音できなかった。
「固有名詞なんてどうでもいい、白山羊と呼べ。坊ちゃんたちがここへ来たのはBM菌の
「は?! なんでそんな即決? こ、こころのじゅんびってもんが」
白山羊の決定に、ブルーセルは高らかに鳴き声を上げ、ソロをどつくのを辞めて東屋の中で暴れ始めた。
本当に優しくて繊細な山羊なのだろうか。
今のところ、その片鱗は全く見られない。ただの暴れ大山羊だ。
「みんなにここへ戻ってくるように知らせなくては。あ、いいや、どうせすぐ戻ってくるから、残りたいものは待機でいいや」
「軽っ。なんだよ、急に。どうしたんだよ」
「今どこにいるのかな、タヌキの浮島・・・・・・」
白山羊はソロを無視して、たぬきノコの浮島の現在地を、空中ディスプレイを広げて検索するのに夢中になっている。
衛星通信が使えて羨ましい。
「キャピタル。たぬキノコの浮島へナラタケ退治に行くってさ。すぐつくっぽい」
「マジかよ。じゃ、帰ったら、おれも二年に進級だな。もう二学期も終わりだし、うまくいけば来年の四月で三年生か」